因縁の“宇都宮超え”でB1初制覇へ 川崎・司令塔、異例呼びかけに込めた成長への自信
過去のCS宇都宮戦で味わった悔しい記憶
川崎にとって宇都宮は高い壁だ。両チームは大一番で過去に何度も対戦している。今年2月の天皇杯準決勝こそ川崎が勝利したものの、川崎にとって宇都宮は悔しい記憶の多い相手だ。例えば2020-21シーズンの準決勝、2018-19シーズンの準々決勝は、川崎が2連敗でシーズンを終えている。
さらにサンダースファミリー、篠山選手にとって忘れられない悔しい記憶が、2016-17シーズンの決勝だ。川崎は最終盤に突き放されて79-85で敗れ、B1の初代王者を逃した。開催地は“中立地”の代々木第一体育館だったが、スタンドは栃木の黄色がサンダースレッドを圧倒していた。
とどろきのセミファイナルも、チケットは売り切れるだろう。サンダースにとって大切なのがその中身で、さらにいうと「黄色と赤の比率」だ。声が出せない状況とは言え、手拍子と“色の圧力”が選手のプレーを確実に後押しする。
篠山は試合後の会見でもこう述べていた。
「チャンピオンシップで宇都宮に行って負けるのは何回か経験していますので、ホームでやれるのは自分たちにとって良いことです。間違いなく激しい試合になると思うし、しっかりホームで皆さんの後押しをもらって戦えたらなと思います」
彼は5年前の悔しい思いに触れた上で、“クラブの成長”を強調する。
「クラブとしての成長を見せたいなという思いはありますね。初年度のファイナルの時も7:3、8:2という感じで、ほぼアウェーみたいな状況でやりました。チケット販売の仕方、川崎のファンクラブ会員数とか、いろいろ思うところはありましたが、僕はその時『半々くらいになればいいな』と思っていたんです。でも田臥さんは何かのインタビューで、『代々木第一をホームにして下さい。真っ黄色にして下さい』という煽りをしていました。自分はまだ『真っ赤にして下さい』と言えず、そこの差があったと思います。今なら自分たちのホームを真っ赤にできる自信があります。そういった意味でも宇都宮さんを飲み込めるような雰囲気を、みんなで作っていけたらいいなという思いを新たにしています」