「予測と準備する能力に長けている」 楢﨑正剛が高評価したJリーグ月間No.1セーブ
指揮官が変わっても「彼なら大丈夫」という信頼感がランゲラックにはある
GKとして歴代1位のJ通算660試合でゴールマウスを守った楢﨑氏も現役時代は「反応して止める」に強いこだわりを持っていた。一か八かではなく、止めるべくして止めてきたからこそ長きに渡って第一線で活躍することができたのだろう。
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そして、勝ち点をもたらすパフォーマンスに強く共鳴する思考は今シーズンも不変だ。
「現役時代はしっかりと反応して止めることを重要視してプレーしていました。こだわっていたというよりも、それが普通の感覚でした。指導者の立場になって、今回選出した場面のような距離のシュートに反応できないと考える選手が多いと感じますが、そこは追い求めてなければいけません。そうすることでGKが勝ち点を奪う試合が増えると思いますし、実際にランゲラック選手は他にもチームを救っているシーンがありました」
節目の30年目を迎えたJリーグは、まだ序盤戦に過ぎない。昨シーズンからスタイルや方向性が変わったチームにとっては難しい時期で、ランゲラックが所属する名古屋も例外ではない。
新たに長谷川健太監督が就任し、攻守のバランスが微妙に変化しつつある状況は楢﨑氏の目にどのように映っているのか。
「監督が代われば戦い方が変わるのは当然の流れです。ただ長谷川監督は前体制と同じように守備をベースにしているように見えますし、大きく針が触れたという印象はありません。選手の顔ぶれも大きく変わっていないですし、ハードワークできる選手も多い。比重が少しだけ攻撃側に傾いているかもしれませんが、だからこそランゲラック選手の存在は大きい。GKにとって難しい状況が増えたとしても、『彼なら大丈夫』という信頼もあるはずです」
チームが少なからず試行錯誤する時期だからこそ、守護神の力がモノを言う。来日5年目を戦っているオーストラリア人GKの存在は自然とクローズアップされる。
「チームが安定していなくても、GKの力で勝ち点を積み上げていきながら組織を構築することができれば理想的です。並のGKではリズムの悪いチームをカバーできなくて結果を出せず、悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。ですが、ランゲラック選手のような実力を持っている選手がいれば安心です」
結果を出しながらチーム力を高めていく。2010年以来のリーグ制覇を目指す名古屋において、今シーズンもランゲラックが大きな役割を果たすのは間違いなさそうだ。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)