バスケ日本代表・ホーバス監督の言葉に自信 B1信州、司令塔・熊谷航が見せた成長力
勝負どころで光った冷静さと守備面の貢献
熊谷は4日の第4クォーター、残り6分11秒でコートに戻された。信州が65-68とビハインドを負っていた時間帯で、まさに“勝負どころ”だ。流れを掴みかけていた川崎は篠山竜青、藤井祐眞が熊谷に激しくプレッシャーをかけ、ビッグプレーを狙おうとしていた。しかし熊谷は1つターンオーバーがあったものの、総じて冷静にボールをさばき、展開を落ち着かせた。それが流れを引き戻し、84-77と勝利する遠因になった。
熊谷は試合終盤のプレーをこう説明する。
「本当はもう少しファウルをもらいたかったんですけど、相手が上手くてなかなかそこをもらえませんでした。中へ切れ込んでビッグマンに合わせたり、そういうシンプルなことをしようと考えていました」
一方、1試合を通して大きかったのが守備面での貢献だ。スタッツを見ると熊谷は1試合で6スチールを記録している。207センチを誇る川崎のニック・ファジーカスがドリブルを突き始める直前のカットなど、スカウティングを生かした読みの光る守備を披露。攻守ともに自信を感じるプレーを見せていた。
熊谷は2月中旬に行われた、今年9月開催の第19回アジア競技大会(中国・杭州)に向けた若手中心の日本代表強化合宿にも招集されている。
「シュートの部分ですごい自信をつけました。トム(・ホーバス)さんからは『ピック&ロールで(相手守備が)アンダー(スクリーナーの背後)を回った瞬間は、いいシュートフォームをしているから絶対もっと入る』という言葉を頂いた。バイウィークの練習でもシュートが入っていたので、そこは自信になりました」
4日の川崎戦で熊谷は3ポイントシュートを4本中2本成功させて、12点を記録している。バスケットLIVEのヒーローインタビューに呼ばれたのも彼だった。
5日に行われた再戦に熊谷はコンディション不良で欠場し、チームも75-99と敗れて連勝を逃した。それでも間違いなく信州と熊谷の成長を強く感じた週末だった。
(大島 和人 / Kazuto Oshima)