井上尚弥、国内凱旋8回TKOでV6も謝罪「戦前の期待を遥かに下回る試合で申し訳ない」
ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級(53.5キロ以下)タイトルマッチ12回戦が14日、東京・両国国技館で行われ、統一王者・井上尚弥(大橋)が挑戦者のWBA10位&IBF5位アラン・ディパエン(タイ)に8回2分34秒TKO勝ちした。2年1か月ぶりの国内凱旋試合で日本人の現役世界王者最多となるWBA6度目(正規王者時代も含む)、IBF4度目の防衛成功。日本人初の4団体統一の快挙に向けて関門を突破した。
WBAスーパー&IBF世界バンタム級タイトルマッチ
ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級(53.5キロ以下)タイトルマッチ12回戦が14日、東京・両国国技館で行われ、統一王者・井上尚弥(大橋)が挑戦者のWBA10位&IBF5位アラン・ディパエン(タイ)に8回2分34秒TKO勝ちした。2年1か月ぶりの国内凱旋試合で日本人の現役世界王者最多となるWBA6度目(正規王者時代も含む)、IBF4度目の防衛成功。日本人初の4団体統一の快挙に向けて関門を突破した。
井上が強さを見せた。初回は互いに手数が少なく様子を見る展開。固唾をのんで見守る観客は緊張感たっぷりだ。モンスターの左フックが頭をかすめると、どよめきが起きた。2回、井上は重い拳のフック、ボディーを受けたが、しっかりブロック。上下にパンチを散らし、揺さぶりをかけていった。
3回開始時点でディパエンの鼻は赤みを帯びる。井上はリズムに乗ったステップワークでパンチをかわすと、ワンツー、フック、ボディーなど多彩さを見せてダメージを与えた。一方的な展開になり始め、観客からは「もう遊んでる」の声。4回、左アッパー3連発から左ボディー。会場を沸かすとカウンターの右ストレートを入れ、左ボディーでは鈍い音を響かせた。
ガードを固めてあえて打たせるような場面もあれば、ノーガードで誘うシーンも。リングは“井上劇場”と化し、綺麗な顔は返り血に染まった。タフな相手をジワジワと削っていく。7回開始直後、右ストレートでぐらつかせた。左構えのサウスポーにもスイッチ。決着は8回だ。左フック、左右のボディーを繰り返すと、左ショートでダウンを奪った。立ち上がった挑戦者だが、一方的な展開にレフェリーがストップをかけた。
試合後のリングインタビューで「2年ぶりの日本の試合、わざわざ会場に足を運んでいただき、ありがとうございました」と感謝した井上は試合を振り返ると、「戦前の予想、期待を遥かに下回る試合をしてしまい、申し訳ありませんでした」と8回までもつれ込んだ試合になり、頭を下げて謝罪した。
井上が国内で試合するのは、2019年11月7日のワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝でノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ちして以来768日ぶり。直近2試合は米ラスベガスで戦い、3回KO勝ちした6月のマイケル・ダスマリナス(フィリピン)戦以来の試合だった。9月にWBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(BMB)がV9戦で王座陥落したため、井上が日本人の現役世界王者最多を更新するWBA王座6度目の防衛成功となった。
今回は異例の興行だった。映像配信サービス「ひかりTV」と「ABEMA」による国内世界戦初のペイ・パー・ビュー(PPV)生配信。さらに、ボクシング界初の試みとして来場者には白のドレスコードが推奨され、企画にも参加した井上は赤のコスチュームで入場した。真っ白な無数のライトに照らされ、会場は日の丸のような光景に。ファンのムードも最高潮となり、美しい演出からゴングを迎えた。
目標の主要4団体統一へ、来春に他団体王者との統一戦は計画されている。バンタム級では、11日(日本時間12日)にWBC王者ドネアが団体内王座統一に成功した。WBOでは王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)が、同日に予定していた防衛戦の前日計量を直前にキャンセル。減量苦もあり、ウイルス性胃腸炎で入院したと海外メディアに報じられ、試合中止となった。
WBOはカシメロ陣営に対し、正式な診断書と医療記録を期日まで提出するよう要求。医学的な証明ができなかった場合は、カシメロから王座を剥奪する。井上の次戦はドネアが最有力。日本人初の偉業に期待が膨らむ。
(THE ANSWER編集部)