LGBTQへの理解・気づきのきっかけに ラグビー廣瀬俊朗、五輪の多様性に見た社会の課題【THE ANSWER Best of 2021】
東京五輪の開催で盛り上がった2021年のスポーツ界。「THE ANSWER」は多くのアスリートや関係者らを取材し、記事を配信したが、その中から特に反響を集めた人気コンテンツを厳選。「THE ANSWER the Best Stories of 2021」と題し、改めて掲載する。今回は、8月に掲載された「THE ANSWER スペシャリスト」を務める元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗さんだ。
「THE ANSWER the Best Stories of 2021」、廣瀬俊朗が語る「東京五輪の多様性」
東京五輪の開催で盛り上がった2021年のスポーツ界。「THE ANSWER」は多くのアスリートや関係者らを取材し、記事を配信したが、その中から特に反響を集めた人気コンテンツを厳選。「THE ANSWER the Best Stories of 2021」と題し、改めて掲載する。今回は、8月に掲載された「THE ANSWER スペシャリスト」を務める元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗さんだ。
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を発信。“多様性のスポーツ”と呼ばれるラグビーを究めた廣瀬さんが感じた「東京オリンピックの多様性」について語ってもらった。(構成=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)
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東日本大震災からの復興、新型コロナウイルス感染症からの克服、環境への配慮……。7月23日に開会した東京オリンピックには様々な理念や意義が込められていますが、多様性(ダイバーシティ)もまた今大会を象徴するテーマの一つです。会期中、折に触れて多様性を感じる場面がありましたが、まず感じたのはやはり開会式でしょう。
今回は206の国と地域が参加を予定し、その大半が開会式に参加しました。あれだけの数の選手が次々と登場し、一堂に会する。改めてオリンピックには世界中の人々が参加していることを感じ、率直に「すごいな」と感動を覚えました。知っている名前もあれば初めて聞く名前もある。母国の紛争や迫害により国を追われた人たちが難民選手団として参加しているのも「いいな」と思える光景でした。
様々な競技で「男女混合種目」が増えたのも印象的でした。すごく新鮮でいい試みだと思います。もちろん、みんな真剣にメダルを狙いにいく一方で、まさにスポーツを楽しんでいることが伝わる笑顔に溢れていました。特に、水泳の男女混合リレーで見た選手たちの表情が、オリンピックという舞台では新鮮に映って良かったですね。
オリンピックは歴史があって重みがある。それはすごく価値のあることですが、新しい種目や仕掛けが加わることで、これまでと違った形で純粋にスポーツを楽しめる方法が見つかることが面白いなと思いました。それを強く感じたのが、新競技のスケートボードやサーフィンです。
10代や20代前半の若い選手たちが、もちろんプレッシャーもあるでしょうが、変に気負いすぎずにプレーそのものを楽しんでいる。順位を競う真剣さの中にも互いをリスペクトする姿が見られたり、ああいうスポーツの形もあるんだというのを見せてくれたのがすごく良かったですね。また、日本代表選手がしっかり結果を出したからこそ、良さが際立ったのではないかと思います。
一方で、柔道のように金メダル獲得がマストの使命とされる中で戦う姿も、すごくかっこいい。そこには独特の重みがあって、やはり「道」の精神を感じる競技でもありました。試合に臨む姿勢やパフォーマンスの出し方などが競技によって違うのが面白い。まさに多様性の一つつだと思います。