世界体操男子個人総合

　体操の世界選手権は22日、福岡・北九州市立総合体育館で男子個人総合決勝が行われ、東京五輪個人総合＆鉄棒2冠の橋本大輝（順大）は87.964点で2位だった。09年内村航平（ジョイカル）の20歳9か月を超える20歳2か月の日本人最年少Vはならず。21歳・張博恒（中国）が0.017点差の87.981点で優勝した。

　橋本は最初の床運動で大きなミスもなく、演技を終えた。しかし、第2種目の鞍馬で落下。うなだれるようにうずくまった。再開後はしっかりと演じ切り14.166点。第5種目は平行棒で15.066点のハイスコアをマークしたが、張も完璧な演技で15.366点だった。橋本は0.35点差の2位で最後の鉄棒に突入。五輪を制した得意種目で15.133点の高得点を叩き出したが、合計で張にわずか0.017点及ばなかった。

　会見では「悔しい気持ちもあるけど、彼がリアルチャンピオンだと思う。五輪後の調整力が足りなかった。これからの成長の糧。航平さんのすごさを感じたし、まだまだ自分が弱いと感じた」と淡々。五輪と世界選手権を合わせて8連覇した内村の偉大さを痛感し、こう続けた。

「鞍馬で失敗したのが悔しかった。緊張したし、いろんなことを考えた。自分の演技に集中したかというと集中できていない。五輪が終わって世界選手権までインカレもあってタイトだった。言い訳にはしたくないけど、動けない時にどれだけできるかが大事だと思った。自分の調整力のなさだと思います。でも、その後の4種目は自分の演技ができたのでよかったです。最後の鉄棒は点数を見る前に彼の優勝だと思った。その中で自分の演技ができたので最後は悔いがないです」

　19歳で臨んだ東京五輪では、史上最年少で個人総合金メダリストになり、鉄棒も制した。8月7日に誕生日を迎え、10月20日の予選で個人総合首位発進。金メダルを獲得した東京五輪の決勝スコア88.465点に迫る88.040点だった。種目別の鉄棒、床運動、鞍馬、平行棒でも決勝に進出。24日の種目別決勝では、鉄棒で内村と初の直接対決となる。

　橋本は「鉄棒では腕が疲れていたし、そこを出せないのが弱さ。そこが負けだったと思う。彼（張）は動きの精度も高かったし、そういったところで僕は負けたのだと思います」と言い訳はせず、勝者を称える言葉を繰り返した。種目別へ「ハードですけど、メダルの色に関係なく、あと2日間、お客さんに楽しんでもらいたい」と前を向いた。