新谷仁美、意識した五輪中止の声 16分もぶつけた強烈な持論「国民を無視できない」
レースの裏側で見た選手の甘さ「こういうところだよ!って思う」
五輪開催に対する反対意見はどういう形で耳にし、目にするのか。池江璃花子はSNSのダイレクトメッセージ(DM)などで、五輪の出場辞退を求める声が届いた。新谷はツイッターのDMの受信をオフにしているが、インスタは「イケメンから来るかなと思って」とオープンに。冗談を交えて報道陣を笑わせ「(反対意見に負けずに)頑張ってくださいという心配の言葉をもらったりします」と明かした。
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この日は、様々な感染対策が徹底して行われた。選手らはPCR検査を求められ、体だけでなく道具も1度の使用ごとに消毒。ウイルスを「持ち込ませない」「持ち出させない」を徹底している。しかし、新谷は練習場で見た選手の姿が気になった。十分な感染対策に納得しつつ、喝を入れるように語気を強める。あえて伝えているように感じさせた。
「私は神経質なので、ちょっと気になるのがあって。走る時やアップ以外の時、休んでいる選手はマスクをつけないといけない。サブトラックでそういうアナウンスがあるんです。でも、マスクをしていない人がいる。そこはしてほしい。見た目だけでもいいんですよ。苦しいのはわかるんです。私だって苦しいし、マスクを外したい。
でも、日本はこういうルールで頑張りましょうと言って、世界に向けてやっているんだから。アスリートが散々悪く言われているわけじゃないですか。『こういうところだよ!』って思っちゃうところがありました。小さいところでもしっかり気をつける。塵も積もれば山となるじゃないけど、他の選手にも気を使っていただきたいなと思います。
選手を守る意味でも、日本を守る意味でも、そういう小さなことが大事。こんなことを言ったら、巷でいうマスク警察みたいになってしまうんですけどね(笑)。それ以外はスタッフの方も徹底されていますし、競技場内でルールは本当に守られている。本当に十分なくらいに徹底されています」
五輪中止を求める人が選手に直接意見をぶつけることに対し、池江は「苦しい」とSNSにつづった。新谷はどうなのか。アスリートにとっても厳しい状況下。苦しくなることはないですか。そんな質問が飛んだ。
「いや、苦しいですよ。正直、今年に入ってからはやっぱり振る舞い方を考えています。五輪開催に関して、命より大事なことはないので命を優先的に考えてほしいという思いもあります。ただ、アスリートとしてどういう答えが望ましいのかというのはわからない。今年に入ってからは、本当に悩んでいます。
ただ、アスリートというものは、それを見せたらいかんだろうなと思います。それを見せないように結果を出すところが、本当に皆さんが求めているようなアスリートだと思う。そこは悩んでいようが、故障していようが結果に影響させないような走りをしないといけない」
何重にも折り重なった複雑な胸中。五輪開催を望むような言葉が一度もなかったのは、反対意見を「無視できない」からだろう。万人が納得する答えはないかもしれない。16分を超えた取材対応。「すみません、語ってしまって」。額の汗はとっくに引いていた。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)