【NBAバズ動画解剖】これはウマい! 敵にぶつかりファウル誘う「賢い」技術「日本の子供も生かせる」
米プロバスケットボール(NBA)はプレーオフに突入し、連日、トップ選手たちが世界最高峰のワザで競演している。ネット全盛のスポーツ、コート上で生まれた数々のスゴ技がSNS上に動画で発信され、たびたび“バズ状態”になっている。豪快なダンクに華麗なアシスト。そんな“SNS動画映え”するプレーをプロの目で見たら、どこに凄さを感じるのか。
「NBAバズ動画解剖」―プレーオフにSNS上で話題を呼んだ動画を渡邉拓馬が分析
米プロバスケットボール(NBA)はプレーオフに突入し、連日、トップ選手たちが世界最高峰のワザで競演している。ネット全盛のスポーツ、コート上で生まれた数々のスゴ技がSNS上に動画で発信され、たびたび“バズ状態”になっている。豪快なダンクに華麗なアシスト。そんな“SNS動画映え”するプレーをプロの目で見たら、どこに凄さを感じるのか。
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「THE ANSWER」はプレーオフ期間中の特別企画「NBAバズ動画解剖」を始動。プレーオフ期間中に飛び出し、SNS上で話題を呼んだプレーを元日本代表・渡邉拓馬氏が独自の視点で解説する。ライトなファンから玄人のバスケ通まで唸る分析が満載。第4回はNBA公式インスタグラム8月22日に投稿し、26万件以上の「いいね!」を集めた「ファウルを誘う老獪プレー」だ。
【バズ動画はこんなプレー】東地区1回戦のペイサーズ―ヒート第3戦、第3クォーター(Q)残り9分。自陣から素早い攻撃を狙うペイサーズ。センターラインを過ぎ、右サイドでボールを受けたT.J.ウォーレンは一気に加速すると、対峙したディフェンスに肩から激しくぶつかり、ファウルを誘うと、体勢を崩しながらも諦めずにシュートを放ち、これが決まった。クレバーな動きで“3点プレー”を演出した。
オフェンスファウルすれすれの接触に持ち込み、渡邉氏がこのプレーに見い出したバズポイントとは――。
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バスケの世界で言う「賢いプレー」ですが、これだけ激しくぶつかり合った後にシュートまで決めるのは難しいです。
このシーン、「ファウルをもらえたら……」という狙いがボールをもらった時点で明確にありました。相手の戻りが遅く、バックランしながら戻っている状態。そういう時、ディフェンスとしては直進してスピードを上げてこられると反応できません。
ウォーレンはそれを分かった上でアタックしました。注目してほしいのは、パスをもらう前。ディフェンスのポジションを見て、相手が一度戻って構えているわけではないと把握。加えて、ディフェンスの背後のゴール下に誰もいないのを見て、ヘルプも来ないと分かってドライブインしている。もし抜けてヘルプが来たとしても、逆コーナーが空いていて、ウィングにも味方がいます。
逃げ道が2つあるので、止められてもパスをする場所があるという確信があり、目の前のディフェンスの反応が遅かったのでファウルがもらえる確信があったので、迷うことなく直進の選択ができた。結果、笛が鳴ればシュートを打てば、入らなくてもフリースローがもらえます。
ファウルをもらうプレー自体は珍しくないですが、ウォーレンは走りながらもボール保持者にアイコンタクトしている。「くれくれ」とジャスチャーすると相手にバレてしまう。行かないようなスピードを見せておきながら、いきなり上げる。相手のディフェンスと自分の味方の状況を理解している。もし、追いつかれてもユーロステップで内に切り込める。凄くスマートなプレーです。
ここで自分が行けば、どう考えても相手のブロッキングのファウルになる。これはバスケをしていたら分かりますが、野球なら『投手がこのコースに投げれば、ファウルになると分かって投げる』という感じ。
日本のバスケキッズも体の当て方さえ覚えれば生かせるプレーだと思います。ただ、気を付けてほしいのは、肩が開いて体ごとぶつかってしまうと、際どいプレーになるということ。
この場面もボールをガードしながら、肩から行っている。相手がオフェンスのコースに入りづらくなることでファウルにしかならない。体の向き、特に肩の使い方がとても大事。このプレーはすごく参考になります。
あと見習ってほしいのはファウルになってシュートも打ち切ること習慣づけること。笛が鳴った瞬間、プレーをやめてしまう選手もいる。この場面も「ファウルがもらうこと」が第一で、シュートを入れるには難しい体勢だけど、結果的に入っている。
ボードに当たったり、リングに弾んだりして入ることもある。シュートを打って終わらないと、何が起こるか分かりません。日本の子供たちもぜひ、その意識を大切にしてほしいです。
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一瞬のプレーの裏側でウォーレンにあった「確信」。派手さはないが、チームを助ける賢さは日本のバスケキッズたちも学ぶべきものだった。
(THE ANSWER編集部)