【甦るラグビーW杯】敗者が残した品格 本場NZメディアが「我々は日本を忘れてはならない」と称賛した理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くのスポーツイベントが延期、中止を余儀なくされている。日本が元気を失いかけている今、振り返りたいのが昨秋のラグビーワールドカップ(W杯)だ。グラウンド内外で様々なドラマが生まれた大会の名珍場面を「甦るラグビーW杯」としてプレーバックする。今回は10月20日に南アフリカに敗れて大会を去る日本代表。世界に示した“品格”を海外メディアも称えていた。
新型コロナ禍の今こそ「ONE TEAM」に―ラグビーW杯の名珍場面を連日回想
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くのスポーツイベントが延期、中止を余儀なくされている。日本が元気を失いかけている今、振り返りたいのが昨秋のラグビーワールドカップ(W杯)だ。グラウンド内外で様々なドラマが生まれた大会の名珍場面を「甦るラグビーW杯」としてプレーバックする。今回は10月20日に南アフリカに敗れて大会を去る日本代表。世界に示した“品格”を海外メディアも称えていた。
9月20日のロシアとの開幕戦からちょうど1か月後、“夢の30日間”に幕を下ろした日本。勇敢に戦った姿を本場も学ぼうとしていた。日本は南アフリカからトライを奪えずに敗戦。世界屈指のフィジカルを生かした防御を破ることができなかった。4強入りはならず、本場ニュージーランド紙「スタッフ」は「南アフリカはまるでゴジラのような、東京の街中を踏みつける怪物だった。それは残酷な夢の粉砕となった」と表現。そして、こう続けた。
「しかし、我々は日本を忘れてはならない。彼らに、ラグビーが大事にするべきものがたくさんあったからだ」
開幕から1か月。日本はチャレンジャーとして快進撃を続け、格上撃破を含め1次リーグ4連勝を飾った。フィールド上の奮闘だけでなく、お辞儀など試合後にファンに敬意や感謝を示す日本文化が各国にも浸透。南アフリカ戦後も一列に並び、スタンドに向かって深々と頭を下げた。同紙は「日本は敬意のジェスチャーとして、頭を下げて、W杯から去っていった。彼らは大会を通して、どのように振る舞うべきなのか、その実例をラグビーに示した」とつづっていた。
大会では日本のファンも脚光を浴びた。海外の国歌を懸命に覚え、一緒に歌う。選手たちとの交流や報道陣などにも全力でおもてなし。日本流で世界を受け入れた。本場のニュージーランド紙は「選手たちは謙虚さと尊厳が何たるものかを有力者たちに教えた。スポーツ界全体が彼らの振る舞いから学ぶべきことがある」と日本から学ぶ姿勢を示していた。
礼に始まり、礼に終わる。日本が大事にしているものに、世界も感銘を受けたようだった。
(THE ANSWER編集部)