【甦るラグビーW杯】台風の日本戦開催に感銘、英記者が感動コラム「日本のおもてなしは想像の先にあった」
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くのスポーツイベントが延期、中止を余儀なくされている。日本が元気を失いかけている今、振り返りたいのが昨秋のラグビーワールドカップ(W杯)だ。グラウンド内外で様々なドラマが生まれた大会の名珍場面を「甦るラグビーW杯」としてプレーバックする。今回は日本が史上初の8強入りを決めた10月13日のスコットランド戦後、英紙記者がつづった感動コラムを再度紹介。台風19号の接近で開催が危ぶまれながら、被災者に多くの勇気と元気を与えた一戦に感銘を受けた同記者は、「日本人の『おもてなし』は皆の想像より、さらに数段階先にあった」とつづった。
新型コロナ禍の今こそ「ONE TEAM」に―ラグビーW杯の名珍場面を連日回想
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くのスポーツイベントが延期、中止を余儀なくされている。日本が元気を失いかけている今、振り返りたいのが昨秋のラグビーワールドカップ(W杯)だ。グラウンド内外で様々なドラマが生まれた大会の名珍場面を「甦るラグビーW杯」としてプレーバックする。今回は日本が史上初の8強入りを決めた10月13日のスコットランド戦後、英紙記者がつづった感動コラムを再度紹介。台風19号の接近で開催が危ぶまれながら、被災者に多くの勇気と元気を与えた一戦に感銘を受けた同記者は、「日本人の『おもてなし』は皆の想像より、さらに数段階先にあった」とつづった。
横浜で行われたA組最終戦は日本が28-21で勝利。8強入りの快挙は日本のみならず、大きな感動を与えていた。英紙「ガーディアン」で「台風被害にもかかわらず、日本が世界に彼らの反骨精神を示す」と題したコラムを掲載したのはアンディ・ブル記者だった。試合後、ピッチ上で寝転んだリーチ・マイケル主将、田村優を中心に、笑顔で集合写真に収まる選手たちの印象的な1枚とともに感動コラムを展開している。
日本戦の試合前に捧げられた黙祷から書き出した記事。試合開始からハーフタイム、試合終了まで、明らかになる台風犠牲者の人数が増えていく、日本にいるからこそわかる経過を克明に記した。会場周辺もまだ水が溢れ、近辺の川崎では多くの人が避難し、相模原では被災者の人数も正確に把握できていない。そんな甚大な被害を受けながら大会関係者が会場に泊まり込み、関係各所との協力により、開催にこぎつけた尽力についてレポート。さらに、こうも記している。
「気を紛らわせるため、日常を取り戻すため、(台風への)挑戦、もしくは我々は生きていて、今あるものを楽しむのだ、という決意を示したのかもしれない」
そんな姿に感銘を受けたようだ。同記者が考えたのは、今大会日本が示している「おもてなし」の精神についてだった。「日本では、このW杯でどのように『おもてなし(日本流の奉仕)』をすべきか、と誰もが議論していた。正確な訳語は無いが、ここで4週間を過ごした私の不完全な理解によれば、それは客を喜ばせるために全力を尽くすことだった」。このように、解釈について理解していたというブル記者。それは“浅はか”だったという。