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運動技能も睡眠により向上 ジュニア世代の成長・発達に重要な「眠活」前編

まさに「寝る子は育つ」

(4)睡眠中に成長ホルモンなどを分泌

 睡眠中、脳や体は休息しているわけではありません。明日の活動に備えて、各種ホルモンを分泌し、体内環境を整備しています。まず、寝入りばなの深い睡眠の時に、脳下垂体から分泌されるのが成長ホルモンです。これは子どもの脳や体の成長に必要なホルモンです。まさに「寝る子は育つ」というわけです。ちなみに、成長ホルモンは大人でも分泌されており、傷ついた組織の修復や疲労回復に役立っています。睡眠不足だと肌が荒れたりするのは成長ホルモンがうまく分泌されないからです。

 睡眠に関係するホルモンとして、体内時計を調整するメラトニンも重要です。メラトニンの分泌は明暗に依存しており、眠る前に明るい照明環境にいると、その分泌は抑制され、寝つきが悪くなってしまいます。

 さらに起床時刻に合わせて、目覚めのホルモン、コルチゾールが分泌されます。起床直前に最も多く分泌され、覚醒に備えて血糖値や体温を上げ、体内環境を整えます。コルチゾールの作用により、朝はほぼ同じ時刻に目覚めるので、遅く床に就くと翌日は睡眠不足になってしまいます。

 睡眠は大脳の進化とともに発達してきました。睡眠は疲れた脳を休めるだけでなく、「脳を創る」、「脳を育てる」、「脳を守る」、「脳を修復する」という大切な役割を果たしています。ヒトは、人生の1/3を眠って過ごします。昔から「寝る子は育つ」、「果報は寝て待て」、「一晩寝かせる」と言われてきたように、眠りにはさまざまな効用があります。今夜から、家族で30分早く眠ることをお勧めします。それだけでも、すっきりと充実した生活を送れるようになります。

※参考資料
○宮崎総一郎,原田哲夫:伸びる子どもの睡眠学,恒星社厚生閣(2009)
○宮崎総一郎:脳に効く睡眠学,角川SCC(2010)

記事提供:スポーティーライフ

【了】

スポーティーライフ編集長 島野聖大●文 text by Sporty Life
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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宮崎 総一郎

中部大学生命健康科学研究所教授

1979年3月 秋田大学医学部卒業、1985年3月 秋田大学大学院博士課程修了、1992年3月 国立水戸病院耳鼻咽喉科 医長、1998年9月 秋田大学耳鼻咽喉科 助教授、2004年4月 滋賀医科大学睡眠学講座 特任教授、2009年9月 日本睡眠教育機構 理事長、2012年4月 放送大学 客員教授併任、現在に至る。

専門は鼻呼吸障害と睡眠、睡眠時無呼吸症候群、睡眠教育。現在、睡眠健康指導士Rの育成と睡眠障害の包括的医療、睡眠学の啓発活動に学内外で取り組む。著書に「伸びる子供の睡眠学」(恒星社厚生閣)、「睡眠のトリビア」・「睡眠のトリビア2」(中外医学社)、「徹夜完全マニュアル」(中経出版)、「病気の原因は『眠り』にあった」(実業之日本社)など多数。

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