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甘く見てはいけない“脳震盪のリスク” プロ野球トレーナーが教える対処法とは

野球人口の減少による球児への負担増大。球数制限の議論などが活発に行われるようになってきた今だからこそ、野球界は改めて選手の体と真剣に向き合う必要がある。

軽度と思われる脳震盪でも後で重症化するケースがある
軽度と思われる脳震盪でも後で重症化するケースがある

保護者向け連載「球児の未来の身体を考える」第6回、侮れない脳震盪のリスクについて

 野球人口の減少による球児への負担増大。球数制限の議論などが活発に行われるようになってきた今だからこそ、野球界は改めて選手の体と真剣に向き合う必要がある。

 プロ野球、セ・リーグで3連覇を成し遂げた広島東洋カープの石井雅也ヘッドトレーナーとともに、球児の体と真剣に向き合う「THE ANSWER」の連載「球児の未来の身体を考える」。第6回は「頭部外傷」のリスクと、「脳震盪」への対処方法。

 ◇ ◇ ◇

 今回「頭部外傷」をテーマとしたのは、アメリカンフットボールや米メジャーリーグ、日本のプロ野球などで、「頭部外傷」への認識が今までとは少し異なってきている理由もあり、新たな取り組みがなされている事をご紹介したいと思いました。

 スポーツでは怪我はつきものですが、特に頭部の怪我は大きなリスクを伴うため、2016年から日本プロ野球でも選手を守るために脳震盪(のうしんとう)特例措置(※1)が取り入れられました。

(※1)脳震盪特例措置 通常は10日以上経過しないと再登録できないが、脳震盪の可能性があって外れた場合は、医師から問題ないと診断されれば10日を待たずに登録できる。外れている間もフリーエージェント(FA)権の資格取得のための日数は中断されない。特例を利用して復帰する時は、代わりに登録されていた選手と入れ替わる。代替選手はその後、10日を待たずに再登録が可能となる。

 プロ野球に所属しているトレーナーは、毎年12月に行われている「日本プロ野球トレーナー研究会」でNPB主導のもと、スポーツ脳震盪の専門医から頭部外傷についての指導を継続して受けています。これにより現場発生した頭部外傷に対して適切な対応ができるよう共通した認識の中でルールを取り決めています。もちろん選手やスタッフも同じ講義を受け共通した認識を持っています。

 また私達トレーナーは共通した「脳震盪チャート」を持っており、それに沿って対応しています。

 野球においては、頭部への死球や選手同士の交錯などで脳震盪を発症します。脳震盪もしくは疑いがあると判断されたケースではプレーを中止し、医師の診断を仰ぎます。しかしながら脳震盪の診断は医師の方々にも非常に難しい診断になるため、「脳震盪の疑い」である場合でも、プレーを中止して経過観察します。専門医の先生からは、「特に子供達に対しては意識があっても、打撲の診断でその時に元気であっても、脳震盪のケースがあるので慎重に対応する必要がある」と言われています。

 ポイントは脳震盪を一時的なものとして捉えるのではなく、どう対応していくかを示すものです。具体的に2つのことがあげられます。

(1)軽度と思われる脳震盪であっても、後で重症化するケースがあるので、適切に対応する必要がある。特に短期間で反復された脳震盪はリスクが高い。

(2)繰り返される衝撃で脳に重大な損傷を引き起こし、重篤な状態に陥ることがある。(慢性外傷性脳傷など)

 こうした事を踏まえ脳震盪もしくは脳震盪の疑いと診断された場合には、上記のリスクを考慮した上で、定められた“段階的復帰プログラム”に沿って、トレーニングを進めていきます。プログラムには投手用と野手用があります。

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