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小学生に筋トレさせてもいい? 子どもに適した筋トレと「意味のない」筋トレとは

現役ボディビルダーであり、「バズーカ岡田」の異名でメディアでも活躍する岡田隆氏【写真:荒川祐史】
現役ボディビルダーであり、「バズーカ岡田」の異名でメディアでも活躍する岡田隆氏【写真:荒川祐史】

子どもに適した筋トレは残りの2つ、大事なのは「神経系」

 では、子どもに適した筋トレとはいったいどんなものか? 答えは残りの2つ、力の出し方を学ぶ「神経系の要因が改善する」トレーニングと、粘れる力をつける「持久力を上げる」トレーニングです。

 神経系の要因の改善には、非常に重たい重りを持つことで神経が興奮して出せる力が上がるというもののほかに、軽い重りでも、できる限り最速で挙げることで出せる力を上げるパターンがあります。また、体を精密に制御する能力を上げる、つまり動きが「うまくなる」ものがあります。

 子どもに、質の高かさを求めつつ、たくさんやってもらいたいのは後者。例えば、キャッチボールで投球動作に入って片脚で立った時、あるいはサッカーで進む方向を切り替える時、体がグラグラしないよう制御する能力を磨くことです。これらの動作には、筋力が関わっていると同時に、うまく動きを制御することもとても大切。大人より断然筋力の低い子どもが、大人顔負けの動きをする場合もありますよね。このように体を精密にコントロールすることを学ぶために行う筋トレであれば、何歳から始めても構いません。

 具体的にいうと、筋トレならば、腕立て伏せの際、姿勢や肘の角度を精密にコントロールしながら、キレイに動くようなトレーニングです。スポーツの練習でいえば、柔道の打ち込み練習がこれにあたります。打ち込みとは、投げるまでの過程の動作を繰り返す練習ですが、これは、相手と組む、かつぐといった流れのなかで、全身の一つひとつの筋肉が調和をとりながら力を出す練習と言えます。

 特に子どもは神経系が成長しやすい年代なので、「狙った動きを完璧にやってね」という動きの練習としての筋トレは効果的です。それは柔道でも、テニスでも、体操でも、腕立て伏せやスクワットでも、どんな動きでも同じ。動作を意識してケンケンをキレイにやることは、浅めのシングルレッグスクワットジャンプをやっているようなものです。これはスポーツだ、これは筋トレだ、と分けて考えず、とにかく自分が思い描く動き(良い動き)を実際に遂行できる能力を磨くのです。

 もし、「ムキムキになりたい」といって腕立て伏せや腹筋をやりたがるようなら、体を精密に動かし、質の高い動きを覚えさせるよう導いてあげるといいでしょう。本人もきっとやる気になって楽しめるし、神経系のトレーニングを行うことで、その後、様々なスポーツに挑戦した際、必ずプラスになります。

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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