足の速さは能力だけじゃない 元五輪選手が明かす「速く走る」コツは?
スキップする時のポイントは…
確かにリオ五輪や世界陸上のテレビ中継などを見ていると、ウォーミングアップなどで選手たちが弾むようにスキップしているシーンを見かけることが多い。それは“地面を蹴る”というイメージとは逆の発想なのだ。
「足が速くない人は、自分の足で蹴って進むイメージなんですね。一方でジャンプする時はアキレス腱がうまく使えていて、バネみたいな役割をしています。このアキレス腱の動きは走る時も同じで、うまく作用させられるとスピードも出るし、無駄な力を使わずに効率的に走れるようになるんです」
跳ねるように走ることがスピードアップに直結する。伊藤さんが例に挙げるのは日本人選手初の100メートル9秒台が期待される桐生祥秀(東洋大)だ。
「桐生選手などのように100メートルを10秒前半、もしくは9秒台で走る選手は、走っている時に地面に何秒くらい足がついているかというと、だいたい0.1秒くらいです。彼らもジャンプの練習をしていますが、ジャンプする時は1.0秒も地面に足がついていなくて、一瞬だけなんです」
それでは実際にスキップする時の“コツ”はどこにあるのだろうか。
「大事なのは“足が入れ替わる位置”になりますね。『何も意識せずにスキップしてください』と言うと、自分の体の後ろの方で入れ替えてスキップする人が多いです。実はそうではなくて、“自分の体の前で”足を動かしていきます。自分の体の前で足を動かすことで、身体を前に弾ませていくことに繋がっていきます」
スキップをする時に体の前後どちらで足を跳ね上げているかを意識している人はそう多くないかもしれない。
速く走るために必要なのは「力を瞬間的に使う、効率的な走り方」だと伊藤さんは話す。その “秘訣”は、かけっこが速くなりたい子供たちにとって価値あるアドバイスに違いない。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer