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陸上短距離に現れた新星・鵜澤飛羽 「陸上の才能ない」元球児が1年半で高校2冠の衝撃

全国高校総体(インターハイ)の陸上は沖縄・タピック県総ひやごんスタジアムを舞台に行われ、5日間に渡る熱戦が幕を閉じた。沖縄独特の変わりやすい天候に加え、台風接近により強風が吹き荒れることもあったが、好記録が連発した今大会。男子走り幅跳びで高校新記録をマークした藤原孝輝(2年=洛南)とともに、最大のインパクトを残したのが、鵜澤飛羽(2年=築館)だろう。

男子100、200メートルで2冠を達成した鵜澤飛羽(左)【写真:荒川祐史】
男子100、200メートルで2冠を達成した鵜澤飛羽(左)【写真:荒川祐史】

中学までバリバリ球児の16歳、肘の故障から“消去法”で選んだ陸上短距離でインターハイ2冠

 全国高校総体(インターハイ)の陸上は沖縄・タピック県総ひやごんスタジアムを舞台に行われ、5日間に渡る熱戦が幕を閉じた。沖縄独特の変わりやすい天候に加え、台風接近により強風が吹き荒れることもあったが、好記録が連発した今大会。男子走り幅跳びで高校新記録をマークした藤原孝輝(2年=洛南)とともに、最大のインパクトを残したのが、鵜澤飛羽(2年=築館)だろう。

 男子100、200メートルで2冠。2年生で達成したこともさることながら、タイムで度肝を抜いた。100メートルは10秒19。200メートルは20秒36。ともに追い風参考となり、公認記録にこそならなかったが、2.1メートルとわずかに“吹きすぎた”200メートルは、サニブラウン・ハキーム(現フロリダ大)がマークした高校記録に、あと0.02秒に迫る快記録だった。

 タイムについて、レース後は「思わず叫んじゃった。公認じゃないとわかって『マジか』って」と苦笑い。「タイムは出ても、20秒6、7くらいと思っていたが、まさかの3とは……」と本人もびっくりだったが、一方で「100メートルでしっかり優勝できた。100で通用したんだったら、200で通用しないわけがない」と確固たる自信があったことも事実だ。

 陸上界に現れたスター候補。しかし、特筆すべきは陸上歴がわずか1年半という事実だろう。築館中時代は野球に打ち込み、イチローに憧れ「守備が売り」の俊足中堅手で鳴らした。高校生活の夢は、甲子園。そう思っていたが、遠投の練習で肘を痛めた。遠投90メートル超を誇る強肩も野球を諦めざるを得ず。築館に進学し、代わりに始めたのが陸上だった。

 長距離は得意じゃない、投てきは肘の故障で難しい。“消去法”で選んだ短距離で、たった1年半で高校No.1スプリンターに上り詰めた。一躍、注目を浴びる存在となったが、自身について、こう評す。「自分に陸上の才能はないと思う」。才能がないのに、高校2冠なんてできるのか。一見して謙遜した言葉に聞こえたが、本人は本気で思っているようだ。

 その証拠が、絶対的な練習量にある。「入学した日から、毎日、毎日、ずーっと走ってきた」という。通常練習に加え、帰宅後に自主練習で自宅近くの200メートル以上ある坂を20、30本ダッシュすることもざら。時に監督から怒られることもあるほど自らの体を苛め抜き、「大会5日前も22本走ってぶっ倒れてました」とケロリと言って、笑い飛ばした。

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