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日本のスポーツチームの新たな社会貢献の形 ラグビーの強豪が産官協同で食育イベントを行う理由

「食育にスポーツを絡めることで、より多くの方に地域の農産業について考える機会を提供できる」(埼玉県大里農林振興センター・高桑氏)【写真:編集部】
「食育にスポーツを絡めることで、より多くの方に地域の農産業について考える機会を提供できる」(埼玉県大里農林振興センター・高桑氏)【写真:編集部】

熊谷市、埼玉県もスポーツチームと協同する食育は初の試み

 後援した熊谷市、埼玉県にとっても、スポーツチームと協同する食育は初の試みだった。

「大里地域(熊谷市、深谷市、寄居町)の農業の理解が深まるよい機会だと思った」とは、埼玉県大里農林振興センター管理部の地域支援担当・担当部長の高桑郁子氏。

「我々の仕事は生産、消費、販売、担い手の育成など、地域農業振興のための課題解決の支援。食育はそのための取り組みの一つだが、『スポーツと栄養』という視点では初めてだった。

 2019年のラグビーW杯以降、ラグビーチームの価値や子どもたちに与えるスポーツの影響力の大きさは感じていた。

 スポーツチームと組むことで、農業とは無関係の人々が集り、地域の農産業について考えてもらう機会が提供出来る。何等かの形で連携し、埼玉県産の農産物の消費拡大につなげたい、という想いがあった」

 イベントではJAくまがやに協力を得て、参加者と選手に橋本氏のプロデュースによる『スポーツ弁当』が提供された。地元産の米や小麦粉、農作物(野菜、肉、果物)を使った弁当を食べながら受講するという試みにも、手ごたえを感じた。

「食べながら学ぶことで、農業の現場を知らない人たちにも、より多くのことが伝わったと感じている。地元産の農産物の新鮮さ、美味しさ、栄養価の高さだけでなく、作物を育てるまでの苦労なども伝えることが出来てよかった」(高桑氏)

「弁当を食べながら講義を受けるというのが面白い。味や匂いは印象に残る。美味しいと思えば、またこれを食べたいという行動につながる」と話すのは、ワイルドナイツの飯島均ゼネラルマネージャー。ラグビー界では早くから、チーム強化の一環に栄養サポートを導入した一人だ。

 飯島氏は前身の三洋電機ワイルドナイツ時代、コーチ(05~08年)、監督(96~00年、08~11年)を務めた。長らく「無冠の王者」と呼ばれたチームがリーグ初優勝を遂げたのは創部48年目にあたる07-08シーズン。「そのシーズン、我々が唯一変えたのは選手の食事。効果があったと確信している」(飯島氏)

「食事は受け身の姿勢ではなく、自ら勉強し、栄養学的に定義づけをし、体作りの目標をクリアしていくことが大事。意識して食べることで、数か月、1年、数年後には体が変わる。筋肉も骨も脳も、材料になるのは食べ物。子どもの頃からの食育は非常に大切」(飯島氏)

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