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世界のトップアスリートが陥る栄養問題 日本食の印象の影響か、スポーツ大国・米国が米を重宝する理由

トップアスリートがエネルギー不足に陥る理由

 では、なぜトップアスリートはエネルギー不足になりやすいのでしょうか?

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 競技性やポジションも影響しますが主な要因に、知識不足や食事の環境が整っていない、炭水化物やエネルギーがあるものを食べることに恐怖心を抱くなどが挙げられます。なかでも、炭水化物への恐怖心は多くのアスリートが抱えており、この問題はアスリート自身が「しっかり食べないと最高のパフォーマンスを発揮できない」と納得しなければ、解消されません。「しっかり食べる」という行動に結びつきません。ですから「力が出ないからとにかく食べよう」と、ただ説得するだけではなく、選手自身が理解し、自ら食べるという行動に移すための教育が重要になってきます。

 アスリートに対し、食の教育に力を入れているのがスポーツ栄養先進国であり強豪国でもあるアメリカです。

 アメリカのオリンピック・パラリンピックスポーツセンターでは、アスリートのアセスメントや食事プラン作成のほか、講習会、調理実習そしてサプリメントの使い方など、トップアスリートへの栄養教育プログラムが非常に充実。一連のプログラムは結果を出すことを最終目的として確立されています。

 今年、弊社が共催した栄養セミナーに、オリンピック・パラリンピック委員会のシニア栄養士、ヌワニー・ジャヤラットさんを招へいしました。その時の彼女の講演の内容から、アメリカのオリンピック選手たちがエネルギー不足にならないよう、どのような食事を摂っているのかをご紹介しましょう。

 ジャヤラットさんは代表でアクロバットコンバット(格闘系とアクロバット系の競技チーム)を担当。競技で言うと、レスリング、柔道、テコンドー、体操、飛びこみ、アーティスティックスイミングと、体重管理が非常に重要なスポーツの栄養士を務めています。

 ジャヤラットさんは「オリパラの栄養士が目指すのは、結果を出すための栄養のプランを立てること。そしてエネルギー不足にならないように対応をすること」と言います。そして、エネルギー不足の対策のカギとなる食材として挙げたのが「米」です。

 アメリカの選手と聞くと、主食はパンやパスタを食べるとイメージする方は多いと思いますが、実は炭水化物の供給源としてお米を選ぶアスリートは少なくありません。

 特にジャヤラットさんがサポートする選手たちはヘルシー志向で食に対してこだわりの強い選手が多い、とのこと。そのため、健康的なイメージがあり、かつグルテンフリーである米は非常に好まれているそうです。彼らは米を使った食事を提供すると安心するため、ナショナルチームの合宿先や遠征先、また計量後の体重管理などあらゆるシーンで、米が重宝しているそうです。

 選手たちが米を「健康的」ととらえるのは、実はヘルシーな印象のある日本食の主食であることが強く影響しているそうです。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJリーグ横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けてのスポーツ食講座なども行う。著書に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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