「なぜ農家を応援すべきか分かった」 廣瀬俊朗&伊藤華英と学んだ「食とSDGs」の意味
なぜ、牛肉を消費すると環境の負荷につながる?
【第1問=答え「(1)97億人】
人口が増えると、食はどんな影響を受けるのか。世界では約6億9000万人、11人に1人(人口の8.9%)が慢性的な栄養不足に陥り、日本では約2000万人が貧困ライン以下(全人口の中央値の半分に満たない所得)で生活しているというデータを紹介した。
「生きるために最低限必要、食べることさえも十分ではない人たちがいます。生活が困窮し、食費を削って必要な栄養素が摂れない。人口が増えることで、栄養が摂れない人も必然的に増えています。世界の人が栄養のあるものを平等に食べていけるように考える。これがSDGsの考えです。特にアジア、アフリカでは十分な栄養を摂れない人がいます。それは解決しないといけない課題です」
【第2問=答え「(3)46%」】
日本の食品ロスは54%(328万トン)がスーパー、レストランなどの事業系、家庭が46%(284万トン)というデータを紹介。これを日本人に分かやすく換算すると、国民1人あたり1日132g、おにぎり1個分に相当するという。
「食品ロスは『まだ食べられるのに捨てられること』を言います。食材を買いすぎて冷蔵庫の奥で腐ってはいないけど、心配だから捨てる。スポーツでは合宿のビュッフェでお皿いっぱいに盛ったけど、お腹いっぱいで半分を捨てる。日本の食品ロスは46%が家庭というのは驚きですが、日本の人口1億2000万人が1日1個おにぎりを捨てていると換算すると、私たちがどれだけ食べられるものを無駄にしているか分かります。これがどう環境に影響するかというと、生ごみにして燃やしたり、これを運ぶために燃料を使ったり。世界で排出される温室効果ガスは最新の数字で10%がフードロスによるもの。温室効果ガスが増えると地球温暖化につながるため、世界中で抑えようとしています。食べ物を捨てない、無駄にしないことが大切です」
【第3問=答え「(2)38%】
日本の食料自給率は38%にとどまり、62%は輸入に頼っているというデータを紹介。その上で「食料の重さ」×「運ぶ距離」で算出されるフードマイレージという指標とともに解説した。
「日本人は普段コンビニが24時間営業し、食べ物がなくなるイメージは持っていません。ただ、去年のコロナ禍でスーパーから特定の食料がなくなり、初めてそういう危険を感じたかもしれません。有事の際、自分の国で作れないと食べ物がなくなってしまいます。海外からの輸入は移動にお金もかかります。二酸化炭素の排出量につながり、日本は他国よりフードマイレージの数値が高い。それだけ環境に負荷をかけています。自分たちの食は自分たちで作れるようになるのがベスト。カナダ、米国、フランスは(自給率は)100%以上。まずは農家、生産者を応援すること大切です」
【第4問=答え「(3)45%」】
日本は米の消費量がこの55年で45%減少(1人1年あたり1962年118.3kg、1990年70.0kg、2018年53.5kg)。原因は人口減少ともう一つあるという。
「『お米は太る』というイメージがあり、控えている人が多い印象です。ですが、コンビニで売っているおにぎり(鮭)1個は炭水化物35.9g、脂質1.8g、たんぱく質4.7g、たまごサンド1パックは同じく22.0g、26.4g、11.7g、パスタのトマトソース1/2人前で42.7g、10.1g、7.6g。おにぎりはすごく脂質が少ないんです。お米はアスリートにとって非常に優秀な食品なので、もっと食べて欲しいと思っています」
【第5問=答え「(3)約5倍」】
世界の食肉消費量はこの50年間でおよそ2倍、日本はそれを上回り、およそ5倍増加している。なぜ、牛肉を消費すると環境の負荷につながるのか。
「牛肉のような家畜を生産するには広い土地、エサに加え、水も必要。お肉を食べるためには多くの資源を使わないといけないということです。また、牛のげっぷに地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一つ、メタンが多く含まれ、牛を多く飼育している米国、ブラジルなどでは問題になっています。肉が悪いということではなく、環境のためにできること。その一つとして動物性の肉を減らしましょうと世界的に今、取り組まれています」