選手、監督が知りたい「リハビリ中の食事」 海外トップ選手も実践する“4つのコツ”
Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「リハビリ中の選手の食事」について。
公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載、今回は「リハビリ中の選手の食事」
Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「リハビリ中の選手の食事」について。
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リハビリ中の選手の食事についての質問は、プロ、アマ、学生問わず、現場の監督、コーチからよく聞かれる質問の一つです。
リハビリ中の体は、骨や筋肉、靭帯などがダメージを受けているため、それらの修復に必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です。また、当の選手たちにとって、リハビリ期間は心身ともにとても苦しみを伴う時期。ストレスが大きく、体内でのビタミンやミネラルの消耗も激しい。故障の種類やリハビリの段階によっては運動量が急激に低下する選手も多いため、いかに摂取カロリーをオーバーすることなく、必要な栄養素をしっかり摂れる食事にできるかがカギとなります。
そこで、今回は特に意識して摂りたい栄養を軸に、海外のトップ選手も実践するリハビリ中の食事の4つのコツを紹介しましょう。
【リハ食のコツ1】低脂肪のたんぱく質を毎食摂る
ダメージを負った体にたんぱく質が大切なのは、今では誰もが知っていると思います。肉、魚介類、卵、豆腐や納豆(豆製品)、乳製品は、毎食必ず摂りましょう。
リハビリ中は摂取カロリーを抑えるため、余分な脂質を摂らない工夫が必要です。鶏肉はささみ肉、豚肉、牛肉はもも肉やひれ肉、牛乳・乳製品は低脂肪や無脂肪を選びましょう。また、たんぱく質の一種であるコラーゲンが豊富な鶏の手羽肉や牛すじもおすすめです。
調理で使う油をなるべく控えめに。できるだけ少ない油で焼いたり炒めたりする、肉から出た脂はこまめにキッチンペーパーで吸い取るなど、細かいことを言いますが、毎食、実践すると摂取カロリーをしっかり減らせます。また、肉はしゃぶしゃぶのように湯どおしをして油を落とす、蒸してポン酢で食べるなどが特におすすめです。
【リハ食のコツ2】魚の油を積極的に摂る
今、スポーツ栄養の世界で注目されているのが魚の油です。魚に含まれる「n-3系」の脂肪酸が、コンディションの維持や炎症を抑える働きをすると期待されています。「n-3系」の脂肪酸は日本では「健康によい油」としてすでに家庭の食卓でも大人気。EPA、DHAが代表的で、さんま、さば、ぶり、まぐろ、イワシといった青魚に多く含まれています。
「魚が苦手」「頻繁には食べられない」という方は、ナッツ類や植物油でもn-3系の脂肪酸を補えます。サラダにかけるなど、手軽に使えるえごま油、あまに油(シソ油)は、Jリーグやラグビートップリーグの選手たちも使っています。