バスケに熱中できる時間は「人生の半分以下」 米難関大卒、川崎アレンが貫いた究極の文武両道
大学2年以降は効率的に動いてバスケと勉強を両立
――スタンフォード大からオファーを受けたのは、いつ頃だったのですか?
「スタンフォードは、その選手が本当に入れる可能性があるかを見極めてからオファーをかけるので、リクルートのタイミングとしては他の学校よりも遅めです。初めて口頭のオファーをもらったのが8年生(日本の中学2年生)の終わりとか9年生の頭だったかな。その後いろんな大学から数週間とか1か月くらいのスパンで連絡が来る中で、10年生になってようやくスタンフォードから口頭でのスカラシップオファー(奨学金付きのオファー)が届きました。『学校が認めないとスカラシップは受けられないけれど、どう?』みたいな感じで」
――どんな点が魅力でしたか?
「学力とバスケットボール双方のレベルが一番高かったのが、スタンフォード大でした。ハーバード大からもオファーを受けましたが、スタンフォードほどスポーツに力を入れていないのでやめました。自宅のあるネバダから、飛行機で2時間程度の距離というのも大きかったですね」
――合格まではどのようなプロセスがあるのでしょうか?
「スカラシップを受けるための試験でしっかりスコアを取らなきゃいけないし、その他にエッセー(自己アピール作文)なども出さなければいけません。合否を決めるのはバスケットボールチームではなく大学の機関なので、チームからは勉強やエッセーに関する指導をたくさん受けました」
――大学での専攻は?
「STS(Science, Technology, and Society)です」
――日本ではあまり馴染みのない専攻です。
「カタストロフィのリスクと解決策、コミュニケーションとメディア、イノベーションと組織作りといった6つの分野から、社会がどのように動いているかを学ぶ専攻です。スタンフォードは1年次は一般教養を学び、2年次から専攻に分かれますが、僕は主にイノベーション・テクノロジー・オーガナイゼーションを中心に学んでいました」
――高校までは勉強にあまり苦労されていなかったとのことですが、大学ではいかがでしたか?
「学びのスタンダードが高いので、大変でしたね。めちゃくちゃ勉強しました。バスケットボールも、運動部としての責務を果たさなければいけないのでこちらも真剣。練習、ウエイト、スカウティング、トリートメント、すべてが高校とはレベルが違ったので、1年目はとても難しかったです。ただ、2年目からは1年目の経験を生かしてマネジメント管理ができるようになりました」
――具体的に教えてもらえますか?
「スタンフォードは4期制で、バスケのシーズンは1~2学期。難しいクラスや授業数の多いクラスは3~4学期に取るようにしました。1学期中に受けられるのは12~20ユニットなので、1学期は14~15、2学期は12~13、3学期は18~19、4学期に13~14、そして冬の間に取り切れなかったものを新学期前の『サマースクール』で2~3取るという感じです。上級生になればなるほど、何をどれくらいやらなければいけないかが分かって効率的に動けるようになるので、楽になったかなと思います」