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70kg弱→52kgに減量「死ぬ気でやろう」 ケジメの鮮烈KOデビュー、28歳アマ王者・坪井智也の選択

早期KO劇を見せた坪井【写真:徳原隆元】
早期KO劇を見せた坪井【写真:徳原隆元】

妻から一言「本当に好きなことを…」

 堤は井上拓真から王座奪取。同興行にはユーリ阿久井政悟、岩田翔吉、田中恒成の世界王者経験者がズラリといた。5人とも同じ1995年度生まれ。「あぁ、俺もまだやりたいな。辞められない。やっぱ挑戦したい」。妻から「本当に好きなことを頑張れ」と快く背中を押された。

「アマにケジメをつけてやめた手前、男が『またアマでやります』とは口が裂けても言えない」。

 昨年末に自衛隊を退職した。安定ではなく、28歳でプロデビューのいばらの道を選んだ。「せっかく生を授かって生きているので、やりたいことは何でも挑戦したい」。通常時の体重は58キロほどに。名門・帝拳ジムの門を叩き、アマ世界王者の実績によって日本初のA級8回戦でのデビューが決まった。

 最大3回のアマから12回のプロに適応するため、フィジカルやスタミナを強化。「アマ時代の良さと、プロに必要なものをミックスしている。スピード、緩急、戦略が僕の大事な軸。打ち合いも好き」。アマ時代の8割に力を抑え、持ち前の高速テンポを維持しながらプロに対応した。

 アマとプロの両方で世界を制した日本人は、2012年ロンドン五輪金メダル&WBA世界ミドル級スーパー王者に輝いた帝拳ジムの大先輩・村田諒太氏のみ。世界王者になれば、地元・静岡初でもある。「強くなるのはもちろん、人としてカッコいい大人になれるように。世界を見据えて頑張っていきたい」。ボクサー人生第2章を華々しく踏み出した。

■坪井 智也/Tomoya Tsuboi

 1996年3月25日、静岡・浜松市出身。11歳でアマチュアボクシングを始め、浜松工業高から日大に進学した。2017年まで全日本選手権ライトフライ級4連覇。18年から自衛隊体育学校に所属。19年全日本選手権はフライ級決勝で田中亮明に惜敗。東京五輪出場を逃した(田中は五輪銅メダル)。21年11月にバンタム級で世界選手権を制し、ウェルター級の岡澤セオン(INSPA)とともに同大会で日本人初優勝の快挙を達成。23年に全日本選手権で5度目の優勝。パリ五輪出場はならず、24年6月にアマから引退。アマ戦績は106勝(10RSC)25敗。身長160センチ、右ボクサーファイター。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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