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進学校の女子高生が米スポーツ名門大LSU進学 18歳で異例の道へ、食事に言語に苦労も…「挑戦には絶対価値がある」――陸上・澤田結弥

東京・国立競技場で4日から3日間、行われた陸上の日本選手権。女子1500メートルに出場した澤田結弥は、MLBやNBA、NFL選手などを多く輩出する米国スポーツ界の名門・ルイジアナ州立大(LSU)に1年生として在籍する19歳。世界の猛者たちと日常を共にする若きランナーの現在地とは。進路選択の理由や海外生活の苦労、後進へのメッセージも送ってくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

ルイジアナ州立大の1年生として日本選手権に出場した澤田結弥【写真:奥井隆史】
ルイジアナ州立大の1年生として日本選手権に出場した澤田結弥【写真:奥井隆史】

陸上日本選手権

 東京・国立競技場で4日から3日間、行われた陸上の日本選手権。女子1500メートルに出場した澤田結弥は、MLBやNBA、NFL選手などを多く輩出する米国スポーツ界の名門・ルイジアナ州立大(LSU)に1年生として在籍する19歳。世界の猛者たちと日常を共にする若きランナーの現在地とは。進路選択の理由や海外生活の苦労、後進へのメッセージも送ってくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 海外挑戦から10か月。日本のトラックに帰ってきたランナーの現在地とは――。

 日本では見慣れない「LSU」と胸に刻まれた紫のユニホームでスタートラインに立った澤田。日本記録保持者の田中希実がレースを引っ張る中、15人の最後尾から前を追った。1つ、2つと順位を上げるも、上位争いに加わることはできず。4分19秒87の組9着で予選敗退。「スタートで出遅れてしまった。そこから巻き返せずにズルズルといってしまったので悔しい」。息を切らしながら、不本意なレースを振り返った。

 五輪や国際大会での活躍が期待できる次世代の競技者を強化育成する「ダイヤモンドアスリート」に選出された逸材。偏差値66の進学校・浜松市立高(静岡)で世代屈指のランナーとして名を馳せ、2年時にはコロンビア・カリで行われたU20世界選手権の1500メートル決勝で6位入賞を果たした。世界を舞台に海外勢に果敢に挑んだこのレースが、静岡の高校生の未来を大きく変えることになる。

「自分も世界で戦いたい」と決意し、LSU進学を決断した【写真:奥井隆史】
「自分も世界で戦いたい」と決意し、LSU進学を決断した【写真:奥井隆史】

 米国の大学から声がかかり、海外挑戦が選択肢の1つに浮上。実際にルイジアナ州立大の陸上競技部を見学し「1人1人を見て、考えてくださるコーチに惹かれて……。自分が英語を話せなくてもすごく人柄の良さが伝わってきた」と惚れ込んだ。高校トップクラスの選手ならスポーツ推薦で国内の強豪大に進学するのが一般的。しかし、澤田は「自分も世界で戦いたい」と強い思いを胸に進学を決断した。

 語学の勉強にも励み、2024年9月に入学。大学の敷地面積は約800ヘクタールを誇り、トレーニングや治療の環境も抜群だ。「オリンピックに出たり、標準記録を切ったりしている人もいる。日本以上にレベルの高い選手が多くて、そういう人とトレーニングをできることが大きい」。現在は陸上競技部の部員と3人でシェアハウス生活。洗面台とバスルーム付きの部屋が1人ずつあり、キッチンとリビングは共有する。「大変なことも多いけど、人に恵まれていて、みんなが助けてくれる」と感謝。広大なキャンパスで、世界トップレベルの選手たちと共に走り続けている。

 とはいえ、周囲に日本人はいない。18歳で親元を離れ、飛び込んだ海外生活。言語はもちろん、食生活にも苦労した。「ハンバーガーばかりを食べているわけではなかったけど、日本とは油の量も違って。食べ慣れなかったり、体がちょっと変わったりして難しかった」と本音を明かす。入学当初は「ふっくらしたね」と言われたこともあったが、自身で調整するなどして改善。苦悩の中にも「自分で飛行機に乗ってアメリカ国内の遠征に行ったり、英語で手続きをしたり。自分で生きていく力がついた」と成長を感じている。

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