異国で重ねたプロ20年…陽岱鋼が後輩に伝える日本の伝統「悪いことではない」 苦しんだ投手への“再適応”
異国で歩み続けたプロ人生が、ついに20年目を迎える。台湾出身の陽岱綱外野手は、今季もNPBの2軍イースタン・リーグに参加するオイシックスでプレーする。昨季、2年ぶりの日本球界復帰で感じた変化や、後輩に伝えているという美徳について語ってくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

巨人退団から米国、豪州へ…陽岱鋼は今季も現役
異国で歩み続けたプロ人生が、ついに20年目を迎える。台湾出身の陽岱鋼外野手は、今季もNPBの2軍イースタン・リーグに参加するオイシックスでプレーする。昨季、2年ぶりの日本球界復帰で感じた変化や、後輩に伝えているという美徳について語ってくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)
離れていたからこそ、わかる変化がある。陽は2021年限りで巨人を自主退団すると、海外の野球に目を向けた。米独立リーグで2シーズン、さらに合間には豪州のウインターリーグにも参加する野球漬けの日々。そして昨年、NPB2軍へ新たに参加したオイシックスで日本球界復帰を果たした。
ただ、残した数字は72試合に出場し打率.232、1本塁打という厳しいものだった。来日が3月と遅れたこともあり、コンディションが上がりきらないまま1シーズンを終えた印象が強い。そして、慣れ親しんでいたはずの日本野球への“再適応”にも苦しんだ。
「自分がアメリカでやっている2年間で、日本の野球は1軍はもちろん、2軍もレベルアップしていましたね。球速も上がっていたし、変化球もそう」。様々なデータを活かし、投手の技術がどんどん向上する時代だ。どんなに経験豊富な打者でも、新たな投球術に対応できなければ好成績は難しい。その中で世界を渡り歩いた陽は、日本野球にしかない特徴に気づいた。
「体の使い方が違うんですよ。日本人独特というのかな。体全体を使いながら、150(キロ)、155を投げる。そうすると打者は160に感じるんですよ。アメリカには160投げる投手はいますけど、そういう投手はいないので。160に感じさせる投手は日本の方がいると思いますよ」
日本から飛び出した時も、帰ってくる時も、変わらねばならなかった。米国でプレーしたのは独立リーグ。それでも時速100マイル(約161キロ)近い直球を投げる投手が、そこからカットボールやツーシームで微妙にボールを動かしてくる。さらに手投げに近いフォームから、いきなりボールが飛び出してくる投手が多い。日本の投手をイメージすると、タイミングを測れないのだ。