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「学校からの苦情はウェルカム」 部活紹介サイト運営者が語る卒業生“口コミ”の力

サッカー少年にとって、全国高校選手権は昔も今も変わらず憧れの舞台だ。多くの才能が強豪校の門を叩く一方、部活動には様々な課題も見え隠れする。その後の人生を大きく左右する「高校進学」が、幸せな選択となるために必要なことは――。全国の中学生年代の選手に向けて情報を発信する、元U-16日本代表GK中村圭吾さんの姿を追う「幸せな高校選びへの挑戦」第4回は、卒業生から寄せられる“口コミ”の力に迫る。(取材・文=加部 究)

第4回は卒業生から寄せられる“口コミ”の力について(画像はイメージです)
第4回は卒業生から寄せられる“口コミ”の力について(画像はイメージです)

連載「幸せな高校選びへの挑戦」第4回:口コミ掲載に細心の注意「誹謗中傷に近い内容も」

 サッカー少年にとって、全国高校選手権は昔も今も変わらず憧れの舞台だ。多くの才能が強豪校の門を叩く一方、部活動には様々な課題も見え隠れする。その後の人生を大きく左右する「高校進学」が、幸せな選択となるために必要なことは――。全国の中学生年代の選手に向けて情報を発信する、元U-16日本代表GK中村圭吾さんの姿を追う「幸せな高校選びへの挑戦」第4回は、卒業生から寄せられる“口コミ”の力に迫る。(取材・文=加部 究)

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 中村圭吾さんは、高校のサッカー部出身者たちの母校への口コミを、自ら運営するサイトで紹介している。ただし匿名でも投稿が可能なので、様々な繋がりを通して事実かどうかを確認し、掲載の是非をスタッフとの話し合いなどで慎重に決めている。

「無理に評判を上げようとするものもあれば、誹謗中傷に近い内容もある。いずれにしても、口コミには主観が入ります。まず僕らは、これを保護者の方々と選手たちのためにやっているので、投稿者の表現の自由は絶対に守らなければならない。しかし同時に投稿の事実性を確認し、学校の名誉も守る必要がある。酷い中傷や批判の対象が特定できるものは掲載を見送るものもあるし、そこだけ消して載せているものもあります」

 また口コミは、なるべく卒業して間もないOBたちの新鮮な情報を収集するように心がけている。

「例えば学校の名前とグラウンドは一緒でも、監督が代わるだけで似て非なるものに変わってしまっているケースもあります。明らかに体制が変わってしまった高校については、変革以降の口コミに絞るようにしています。旧体制時代の話は情報としては面白くても、現在進学を控える中学生には役に立ちませんからね。今後は投稿者の卒業年度も入れていこうと思っています」

 確かに高体連では長く君臨してきた監督が退くと、活動内容も一変するケースが少なくない。実は10年ほど前に強豪校の実態等を取材して書籍にしたことがあるが、現在の口コミに目を通してみると「名将」が去り、だいぶ改善された様子が伝わってくる高校もある。改めて中村さんは言う。

「逆に影響力の大きな監督が長く続けると、選手たちは負の想いを引きずったまま卒業していくことになる。本来いくら私立でも指導者や校長の私物ではない。独自の方針で運営をしているから致し方ない部分もあるとは思いますが、個人的には教育者としてどうなんだ、と疑問を覚えます」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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