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「素材は佐々木朗希くらい」 強豪大を蹴り高卒プロへ…相撲部屋も誘った“188cm113kg”日本ラグビー19歳怪童の決断

チーム内から上がる「素材としては佐々木朗希くらいはある」の声

 プロ選手として1年が過ぎようとしている。本山の挑戦を受け入れた静岡BRの藤井雄一郎監督は、こんな眼差しでこの“怪童”を見つめている。

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「真面目にやってますよ。練習もそうだし、練習終わってからもずっとやってます。(プロ)チームの環境の中にいると、やはり伸びていくんです。セットプレーはウチは絶対なので、そこが出来るようになってくれれば、タックルは行きよるし、体もあるのでボールキャリーも結構自分から行くので、来年にはちょろちょろ出てくるんじゃないかな」

 肩の怪我から復帰したのは昨年7月末。チームの始動に合わせるように練習に加わり、今季はまだ練習試合に途中出場で10分、15分程度のプレー時間ながら、本山自身一歩一歩リーグワンデビューへの準備を積み上げ始めている。

「D-Rocks(浦安)、トヨタ(ヴェルブリッツ)、ワイルドナイツ(埼玉WK)との練習試合に出ましたが、プレー時間は徐々に増えています。プロとして1シーズン経験を積んで、プレーに対する責任だったり、練習に対する気持ちや体作りの面では変わって来たと思います。技術的には、一番はスクラムの姿勢だと思います。最初の頃は(相手に)持ち上げられてしまっていたが、今はちゃんと組めるようになってきています。まだまだ押し負けないように体作りをしっかりやっている段階ですけど。公式戦に出るには、やはり先ずスクラムで負けないこと、後はボールキャリーでしっかり前に出られること、ディフェンスでもしっかり守り切れることが大事だと思います。体の当て方、ディフェンスならしっかりタックルに入る部分とかはまだまだなので、そこをしっかり出来ることがメンバーに選ばれるためには必要だと思います」

 藤井監督は「来年は」と本山を長い目で見守っているが、本山自身は貪欲さもみせる。昨年は怪我による半年近い出遅れもあったが、20歳のHOシアレ・マヒナが今年1月17日の相模原DB戦で公式戦デビューを果たしたことは大きな刺激になっている。

「年齢は関係ないです。この前も、自分の1歳上のシアレがファーストキャップを掴んでいます。彼の出場で、更に年齢は関係ないと証明されたので、後は(自分が)やるだけです。ちゃんとチームに求められることをやって行ければチャンスは開けると思います」
 
 U20での世界挑戦という目の前の大きな目標もある一方で、静岡BRでのデビューの先にあるのが正代表での挑戦だ。多くの関係者がこの“怪童”に期待するのは、24歳で迎えることになる2031年W杯以降の活躍だが、本人に来年のオーストラリア大会への意欲を聞くと、静かに頷いた。

「やはりフル代表に入ることは目標です。小さい頃からやってきたので、その夢を叶えたい。そのためにもレヴズで出場しないと。他の選手に対しても、ちゃんと筋の通った評価で(W杯に)出たいですね」

 静岡BRで同じタイトヘッドPR(右PR)でプレーする35歳の重鎮、伊藤平一郎は、若き同僚をこう評価する。

「いずれチームの将来を背負っていく選手だと思っています。今は高校から上がって来たばかりで、ウチで試合に出るにはスクラム(が課題)だと思いますが、いいものを持っているし、めちゃめちゃトレーニングしてます。素材としては佐々木朗希くらいはありますね」

 引き合いに出した佐々木は、ご存知の通り岩手・大船渡高に163kmの剛速球を投げ、千葉ロッテマリーンズを経てMLBロサンゼルス・ドジャースで活躍する怪物投手だ。ロッテ時代は破格のポテンシャルを秘めた将来の大器として徹底した育成プログラムの下で成長を続けて今の活躍がある。本山も、同じように未だ19歳という年齢で、国内最高峰のラグビー環境で育成される中で、その秘められたパフォーマンスを磨き上げている段階だ。原石の多くが大学での4年間でようやくリーグワンで戦える可能性を見せる成長のロードマップを、本山は高卒から直ぐに国内最高レベルのチームという育成・成長環境の中で進化を続けている。

 そんな原石が、今季のターゲットに据えるのが6月のジュニアワールドチャンピオンシップであり、1シーズン目を迎える静岡BRでのリーグワンデビューだ。

「U20では、世代と国を代表してプレー出来ることに意義がある。そこで勝つことで新たな歴史が作れる。なかなか勝つのは簡単じゃないと思いますが、勝つことで新しい希望の光が作れるのかなと考えています」

 自分自身でその光を掴めば、その先にあるのは正代表として挑むW杯だ。まだリーグワンデビューも果たしていない19歳と考えれば、まだまだ“絵空事”のようにも見える。しかし、9年前の「二分の一成人式」で誓った夢は、一歩ずつ現実へと近づいている。W杯イヤーに迎える本当の成人式。可能性満載の原石がどこまで輝きを放つのかを見守りたい。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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