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「素材は佐々木朗希くらい」 強豪大を蹴り高卒プロへ…相撲部屋も誘った“188cm113kg”日本ラグビー19歳怪童の決断

相撲部屋も勧誘 中学時代は九州大会優勝&全国ベスト16の実績

 本山が「横綱」も夢に掲げたのは、小学4年生から中学まで打ち込んだ相撲の影響だ。九州大会優勝や全国ベスト16という実績も残し、相撲部屋、強豪高校からも誘われたが、楕円球と同時進行で土俵に立ったのは1学年上の先輩から「必ずラグビーに役立つから」と誘われたのが理由だった。相撲の恩恵も相まって、ラグビープレーヤーとしての資質は、まさにそのサイズと鍛えられた体躯が示している。長崎南山高校を進路に選んだのは父、兄の母校だったこともあったが、「兄は野球部でしたが、その時にもラグビー部は花園に出ていたので、僕自身も南山に行きたいという気持ちでした」と振り返る。

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 生まれ育った長崎県東彼杵郡川棚町は、雄大な大村湾と急峻な山々に抱かれた風光明媚で穏やかな土地だ。そんな故郷の話になると表情が緩んだ。

「自然が沢山あって、自宅からは海もすぐ見えて山もある。そういうのんびりした所ですね」

 長崎南山高までは電車で1時間を超える程の道程だったが、本山は大きな体を揺らしながら付属中学からの6年間通い続けた。部活を終えて帰宅すると午後10時頃になることもあったが、インタビューの中では自分の苦労より家族への感謝を何度も口にした。

「一番大変だったのは親だと思います。食事の用意だったり、早朝から夜まで。小学生の時も、学校が終わってから土日はラグビースクール、月水金曜日は相撲教室と、家から車で30分くらいの距離を送り迎えしてくれていましたから」

 小学生時代から巨漢少年ではあったが、親からは恵まれた体と一緒に相手を思い遣る繊細さと大きなハートも授けられた。そんな恩恵を受けながら本山少年のラグビーに打ち込む日々が続いた。既に高校在学中にU17日本代表から桜のジャージーに袖を通し、U19代表でもアジアを舞台に経験を積んでいたとはいえ、高校からプロ契約という選択肢は大きな決断だ。そこには長崎南山高の恩師の存在が影響している。

 南山高ラグビー部を率いる久保田一平監督の弟が、静岡BRの前身ヤマハ発動機ジュビロ時代にトライゲッターとして活躍したWTB伊東力だった。その縁もあり、静岡BRの選手が南山高校に指導会などで訪問した時に、破格のサイズの本山少年が注目された。高校2年の冬にチームから見学に誘われ磐田市の練習グラウンドを訪ねたことで、本山の胸中にそれまで考えてもなかった選択肢が浮かび上がった。

「この環境だと自分は強くなれると思いました。なので静岡BRに行くことを決めたんです。高2の花園(全国高校ラグビー大会)に出場する前、12月に見学しましたが、大会が終わった頃に決めたんです」

 当時はまだ、多くの高校生同様に大学に進学してラグビーを続けようと漠然と考えていた高校2年生だった。リーグワンの強豪チームを見学して、怪我をしない範囲とはいえ練習に参加すること自体、そのギャップに物怖じしてもおかしくないはずだが、本山の受け止め方はかなりかけ離れたものだった。

「一緒に練習して、恐怖心というのはなかったですね。ポジティブに挑戦するという気持ち、自分がどこまでやれるのかという気持ちになりました。レベルや練習内容は高校とはかなり違うものでしたが、ここでやってみたいという思いになっていきました」

 最終的な覚悟も、恩師のアドバイスが影響している。

「久保田監督からは『1%でも大学(ラグビー部)に行きたい気持ちがあるならプロには向いていない』と言われたんです。それだと覚悟が足りない。だから自分でもプロでやるという覚悟で決めました」

 本山は2姉、1兄がいる4人きょうだいの末っ子だ。高校卒業直後に初めて長崎から遠く離れた静岡・磐田で、プロとしての生活に飛び込むことは大きな選択ではあったが、挑戦したい、自らを成長させたいという思いが不安と困難さを拭い去った。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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