[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

“医師”と“世界”の二兎追うハードラー 週35コマ講義も…文武両道とは「趣味」であり「特権」【東京世界陸上】

陸上の世界選手権東京大会は13日から国立競技場で熱戦が繰り広げられた。2007年の大阪大会以来18年ぶり3回目の日本開催。現地で取材した「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開。第21回は「医学の道を突き進むトップアスリート」。女子400メートル障害で6位、女子4×400メートルリレーでは4位に入ったナオミ・ファンデンブルーク(ベルギー)は、医師を目指して勉学に励みながら競技に打ち込んでいる。両立できる理由を聞くと、シンプルな答えが返ってきた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

女子400メートル障害決勝で6位に入ったナオミ・ファンデンブルーク【写真:中戸川知世】
女子400メートル障害決勝で6位に入ったナオミ・ファンデンブルーク【写真:中戸川知世】

東京世界陸上連載「東京に集いし超人たち」第21回

 陸上の世界選手権東京大会は13日から国立競技場で熱戦が繰り広げられた。2007年の大阪大会以来18年ぶり3回目の日本開催。現地で取材した「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開。第21回は「医学の道を突き進むトップアスリート」。女子400メートル障害で6位、女子4×400メートルリレーでは4位に入ったナオミ・ファンデンブルーク(ベルギー)は、医師を目指して勉学に励みながら競技に打ち込んでいる。両立できる理由を聞くと、シンプルな答えが返ってきた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

足を速くしたい、打率を上げたい…野球上達に“必須の能力”を学ぶ「運動神経向上LIVE」開催

 ◇ ◇ ◇

 身にまとうのは白衣ではなく、ベルギー代表のユニホーム。19日、個人種目では初となる決勝で、ファンデンブルークの両足は小気味よいリズムを刻んだ。「今季ずっとやりたかった完璧なストライドが最後のレースで遂行できた。タイムは願っていたほど速くなかったけれど、技術的には完璧だった」。53秒70。女子400メートル障害で6位入賞した29歳の表情は充実感に満ちていた。

 17日の準決勝では53秒65のベルギー新記録をマーク。最終日の女子4×400メートルリレー決勝でも1走を務め、4位入賞に貢献した。五輪にも2大会連続で出場しているトップアスリート。一方、普段はノルウェーのオスロ大大学院で医学博士号の取得を目指す医学生の一面も持つ。「医師になるのが私の目標。全部のテストに合格できればね」。THE ANSWERの単独取材に茶目っ気たっぷりに笑った。

ファンデンブルークは工夫を凝らし、医学と両立しながら世界と戦い続ける【写真:中戸川知世】
ファンデンブルークは工夫を凝らし、医学と両立しながら世界と戦い続ける【写真:中戸川知世】

 医学と競技の両立は「非常に難しいと言わざるを得ない」と認める。過去には週35コマの講義が組まれたことも。現在は講義を取りすぎないようにし、自習の割合を増やすなど調整。「出来る限り効率的にやりたいから、友人と一緒に勉強するようにしている」。もう一つの工夫は朝に練習すること。トレーニング後の体に必要な休息を日中に与えつつ、頭は勉強に注ぎ込むことができるからだ。

 二兎を追うのは体力的にも時間的にも簡単なことではない。特に戦う舞台が世界となれば尚更だ。「ぶっちゃけとてもタフ」というスケジュールをこなすためには、相当な覚悟が求められるはず。だが、ファンデンブルークが文武両道を継続できる理由は意外にもシンプルだった。

「メディカルスクールと走ること、私は仕事だと感じていないの。どちらも基本的に私の趣味。トレーニングも勉強も、やっていてとても楽しい。それは特権だと思う。面倒だと感じたことはないし、強い情熱を持っていることは常にやっていて楽しい。それが何よりも大事なことだと思う。両方とも楽しいから、両立できているの」

 大好きなことだから、どんな努力も苦にならない。世界レベルで「好きこそ物の上手なれ」を体現していた。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
CW-X CW-X
lawsonticket
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集