[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

大阪大学医学部→公務員→目指した五輪 陸上のために32歳で2度目の大学生に…週7日働く異端の医師の選択

東京五輪では複数メダルを獲得するなど、存在感を示している日本の競歩。唯一無二の方法で挑戦を続けているのが、33歳の田中達也だ。大阪大学医学部に現役で合格。大学卒業後、6年間公務員として働きながら東京五輪出場を目指した。現在は大学に再入学し、医師との二足のわらじで、2年生の学生ウォーカーとして競技を継続。様々な葛藤を抱えながらも、今もなお歩き続ける理由を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

関東インカレに出場した田中達也【写真:中戸川知世】
関東インカレに出場した田中達也【写真:中戸川知世】

医師と競技を両立させる競歩・田中達也

 東京五輪では複数メダルを獲得するなど、存在感を示している日本の競歩。唯一無二の方法で挑戦を続けているのが、33歳の田中達也だ。大阪大学医学部に現役で合格。大学卒業後、6年間公務員として働きながら東京五輪出場を目指した。現在は大学に再入学し、医師との二足のわらじで、2年生の学生ウォーカーとして競技を継続。様々な葛藤を抱えながらも、今もなお歩き続ける理由を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 ◇ ◇ ◇

 5月、国立競技場で行われた第103回関東学生競技対校選手権(関東インカレ)。20歳前後の学生選手たちの中で異彩を放つ田中の姿があった。32歳で放送大学に入学。目標を見失いかけている今、再び見つけるためでもあった。

「五輪は薄々難しいかなと。気持ちの区切りがつきつつある今、大阪大学時代に出場できなかった全日本インカレ(日本学生競技対校選手権)を五輪の代わりとなる目標にした」

 唯一無二の競技生活を歩んできた。陸上を始めたのは中学1年生。中長距離が専門で、全国屈指の進学校・東大寺学園高(奈良)2年時には、県大会で5000メートル10位となったが、全国大会には届かなかった。

「走りでは限界を感じていたけど競歩なら……」。体重があって持久力のあるタイプ。筋力が必要な競歩への適性を感じ、医学部に現役合格した大阪大学で転向した。

「戦略を立てれば代表を狙える」――。

 手応えを得たのは2018年の日本選手権。自己最高となる7位入賞を果たした。そこからは東京五輪を目指して奮起。公務員として事務職をフルタイムでこなし、競技に打ち込んだ。クラウドファンディングで支援を募り、19年夏には週末に3日間、長野・菅平で合計11回もの合宿を決行。自国開催の夢舞台に照準を合わせた。

 しかし、新型コロナウイルスが流行し、1年延期に。21年4月の選考会では完歩した選手の中では最下位だった。

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集