10代で海外サッカーに飛び出す意義とは? 異色の韓国人MFが日本で得た新たな価値観
来日後にボランチ転向「基本が改善され、応用力の幅も広がった」
日韓のスタイルの違いも体感した。
「相手と1対1になった場合、韓国では身体をぶつけて跳ね飛ばしてでも突破しようとする。でも日本では、パスコースを作ってボールをつなぎながら局面を打開しようとしますよね。梶山陽平のように、ヨーロピアンスタイルの柔軟なテクニックを持つ選手は、韓国にはいません」
19歳のオ・ジャンウンは、そう語っていた。
その梶山とは、日韓のU-19代表同士で戦っている。「日本のパスワークは巧みだから気をつけろ」と韓国のスタッフも強調していたという。
来日してFWからボランチに転向し、プレーも幅も格段に広がった。
「日本に来て基本が改善されたので、応用力の幅も広がった。パスと言えば1種類しかなくて、ただ味方に渡せばいいというものでしたが、状況に応じて緩急を使い分けられるようになりました」
もともと身体が強く、闘うことを厭わなかったオ・ジャンウンは、日本で繊細なテクニックも身につけ、帰国してから開花した。
「やがて日韓両国のスタメン全員が、欧州のクラブでプレーする日が来るかもしれない。その時は、僕も欧州のビッグクラブで活躍していたいですね」
13年前に語った抱負である。欧州ビッグクラブでプレーする夢は果たされていないが、10代で渡ったベルギーと日本での経験が、プレーヤーとしての成長を促した。
(文中敬称略)
【了】
加部究●文 text by Kiwamu Kabe