「ボクシングを舐めてるわけじゃない」 那須川天心、47戦無敗でも競技転向した理由
日本ランク1位とスパー「これで本気度が伝わったかな」
多くの世界王者を生んだ名門・帝拳ジムに所属。元世界2階級制覇王者・粟生隆寛トレーナーに師事し、ボクシング技術の習得、キックの癖を取り除くことに汗を流してきた。
「重心も違うし、動きが全部違う。ボクシングは3分間ずっと全力というわけじゃない。ラウンドが増えるごとに違う動きが必要になる。キックと違って相手に合わせることも必要。引き出しを増やすことが大事。徐々に作り込むしかない」
使えるのは2つの拳だけ。「前の手(右手)は突きだけじゃない。回したり、誘ったり、下からも打つ」。帝拳ジムの本田明彦会長は「本当に明るい性格。『練習が楽しくて仕方ない』と言っています」と努力の裏側を明かす。
昨年11月、那須川は米ロサンゼルスでスパー中心の合宿を敢行。世界の猛者と拳を合わせ、自身に足りないものを知った。「まだ何も知らない状態だった。悪いところがたくさん」。帰国後はステップワークなど徹底。まだまだ発展途上だが、「(パンチは)インパクトが変わった。お客さんをビックリさせる自信はあります」と成長に胸を張る。
この日のプロテストでは、日本バンタム級1位・南出仁(セレス)と3ラウンドのスパーリング。抜群のスピードを披露した。「今日がMAXではないですが、キックと違う動きは見せられたと思う。これで本気度が伝わったかな」。マウスピースを忘れ、急きょフィットネスジムに買いに行く初々しい珍事にも、「新人らしくていいでしょ」と笑う。
バンタム級かスーパーバンタム級を主戦場とし、4月のデビュー戦は6回戦(6ラウンド)を予定。日程や相手は近く発表される。昨年6月の格闘技イベント「THE MATCH 2022」(東京ドーム)では、K-1王者・武尊に5-0の判定勝ち。大観衆を沸かせた。
「僕の一番代表する試合はそれ。そういう熱狂を生んでいきたい」
次世代の最強王者候補が、ボクシング界に熱をもたらしていく。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)