家焼失、故障、親の反対… 川口能活は人生の岐路で何を貫き、決断してきたのか
「お願いだから大学に行って」―初めて反対された時に思ったこと
「焦ってプロに行く必要があるのか、という気持ちがあったのだと思います。両親は僕が東海大一中、清商に行きたいといった時も、胸の内には色々な思いがあったはず。それでも常に、僕の気持ちを最優先してくれた。でもプロに行きたいと伝えたら、初めて『お願いだから大学に行って』と反対されました。
Jに進めたのは、清商の先輩であり、当時、横浜マリノス(現横浜F・マリノス)のスカウト担当だった佐野達さん(現ヴェルスパ大分)の力が大きかった。佐野さんの熱意を受けて、両親は納得してくれたのだと思います」
中学や高校への進学、プロリーグに進む決断。自分は常にチャレンジする道を選んできた、と振り返る。
「サッカーにおいても生き方においても常に高い壁に挑む、チャレンジすることが自分らしさです。サッカーを始めた頃から今日に至るまでの節目節目で、自分にあった選択ができたと思います」
(続く)
<川口能活、初著作「壁を超える」を刊行>
川口は初著作「壁を超える」をこのほど上梓した。
42歳現役選手を支え続けるものとは何か――。順風満帆に見えて、実際は今ほど整っていない環境での海外移籍や度重なる怪我など辛い時期を幾度も乗り越えてきた。メンタルが問われるゴールキーパーという特殊なポジションで自分自身を支え続けるものは何なのか。
第1章 苦境のおしえ
第2章 人を育てるということ、組織(チーム)を率いるということ
第3章 リーダーの肖像 ――指揮官たちに教わったこと
第4章 厳しかった日々と家族の存在
第5章 「現役」であること、「引退」に思うこと
「あの時」、川口は何を思っていたのか――。定価:本体800円+税 ISBN:978-4-04-082166—5
【了】
長島恭子●文 text by Kyoko Nagashima