女子アスリートの将来に一石 7人制ラグビー日本代表主将が自分でチームを作ったワケ
「日本でプレーしたい」と興味、ゆくゆくはアジア選手の加入も
――今後の予定と目標を。
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「年明けの1月18、19日にトライアウト(久留米)を行い、まずは5、6月に予定されているリージョナルトーナメントに出場して、太陽生命セブンズ入替戦に出ることを目標にしています。そして、2021年には太陽生命セブンズシリーズに参戦する。
今シーズンの太陽生命セブンズシリーズでは、ながとブルーエンジェルスが参戦2年目で総合優勝。なので、その記録を塗り替えたいという気持ちはもちろんあります。2023年にはアンダーカテゴリー(ユース育成)のアカデミーも創設する計画で、2024年のパリオリンピックにプリズムからの選手派遣ができるようにしていきたい」
すでに、中村選手兼GM以外に、横尾千里、白子未祐が同チームと契約。いずれも、東京五輪の代表候補にも名を連ねる実力の持ち主だが(横尾=女子7人制日本代表第1次オリンピックスコッド、白子=同トレーニングスコッド)、その一方で、1月のトライアウトに関しては18歳以上の九州在住の選手たちを中心に考えられているようで、選手契約する人数は15~20人ほどが想定されている。
さらに、「福岡はアジアのゲートウェイ」(中村GM兼選手)でもあり、ゆくゆくはアジアの選手たちのスコッド入りも考えられていて、実際に今秋のアジアセブンズシリーズ時に新チームのアイデアを旧知のアジア諸国の選手たちに話したところ「日本でプレーしたい」と、興味を示した選手も少なくなかったとのこと。
これまでは「九州出身の女子ラグビー選手が九州に戻ってくるのは引退した後」(村上CEO)というのが九州のラグビー関係者のジレンマでもあったが、ナナイロプリズム福岡がそうした流れを変える可能性を持っているのも確かだろう。
当の中村GM兼選手自身は、前述のような過密な代表スケジュールもあり、コンディションと相談しながらチームでのプレーを考えていくという。
「あくまでもプレーすることを最優先しながら、スポンサーとなってもらっているいくつかの企業(チームスタート時点でメインスポンサーとして8企業)とマッチングを行い、選手を紹介して雇用していただく」(同CEO)
前述のとおり日本人プロ選手がゼロという女子ラグビーの現状の中、より恵まれたプレー環境と安定したデュアルキャリア構築の両立を目指す、九州発“ハイブリッド・プロフェッショナル”チームの挑戦に注目したい。
(出村 謙知 / Kenji Demura)