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女版サスケで脚光 元体操代表美女は今、なぜ“普通の子供”に逆上がりを教えるのか

引退後はカナダに体当たり留学…帰国後、運命を変えた衝撃的な指導とは?

 身長162センチ。体操選手としては長身で、かつ、日本人離れした長い手足を誇っていた。ロシア流の表現力を取り入れ、ゆかを武器にして台頭。02年にナショナルチームに初選出され、05年には全日本ジュニアで個人総合V。さらに全日本選手権で個人総合連覇を果たし、日本を代表する選手になった。

 明大に進学し、目標としていた08年北京五輪にこそ代表選考で漏れたが、ユニバーシアード日本代表として活躍。輝かしいキャリアを誇ったが、大学卒業を機に第一線から退いた。

「第2の人生」に何をすべきか。思案していくうち、胸の内でふつふつとわき上がってくるものがあった。

「指導の道しか思い浮かばなかったんです」

 自分を育ててくれた体操に恩返しがしたい――。やると決めたら、とことんやる。そう思って、海を渡った。カナダに単身コーチ留学。シドニー五輪で個人、団体合わせて3個のメダルを獲得したエカテリーナ・ロバズニュクのもとへ飛び込んだ。

「選手の時に一番好きな選手だったんです。今、指導にかかわっていると聞いて、その人のもとで働きたいと思った。彼女がいる場所を調べて、そこのジムに飛び入りで……。かなり破天荒だったと思います(笑い)」

 異国の地で1年間、名選手のもと、体操哲学から指導のイロハまで学んだ。そして、指導者としての道は「選手」ではなく「子供」を選ぶことになる。

 帰国後。札幌の体操クラブでインストラクターを務めた。運命を変える、ある指導があった。児童デイサービスという部署があり、発達障害を持つ子供たちを教えた。それが、衝撃的だった。

「自分が知っている知識を一から十まで言ってみても、できない子たちがほとんど。だから『じゃあ、次はこうしてみよう』『こう言ってみよう』と、指導をどんどんと掘り下げていくうちに、最後に達成できた瞬間がものすごくうれしくて。子供にもいい成果が出て、保護者の方も喜んでくれる。それが、こういう仕事して良かったなという瞬間があったんです」

 指導者として、何よりも代えがたい喜びがあった。その時に思った。「トップ選手がトップ選手を教えるという“普通”のルートは私じゃなくていい。トップ選手を教えるより一般の子供を教える方がいいな」と――。道は、定まった。

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