壁は頭で登る? 偏差値70の秀才クライマー緒方良行の思考「勉強していてよかった」
壁を前にすれば楽観的に、視野を広く持つ「なめているという感じかも」
メンタルの重要性を痛感したのは、今年3月のボルダリングコンペで優勝した時。楽観的な気持ちで臨んだことが大きかった。「全然勝ちたいとも思っていなかったですし、リラックスした感覚で優勝できた」。成功体験を再現するため、6月のW杯では「ホテル内でも、ずっとリラックスしてひたすら笑いまくった」と、決勝前にプールにも行ってみた。
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「客観的に見たら凄く調子に乗っているし、なめているという感じかもしれないけど、自分ではメンタル的に余裕が出て、パフォーマンスも過去ダントツでよかった。極論ですが、僕は集中しすぎない方がいい。集中しようとしすぎて視野が狭くなった。どんどん自分を追い込んで気づいたら緊張していることが多くて。
一般的なアスリートは、競技に集中して、努力して頑張るみたいな感じですけど、自分はどちらかというと、集中するというより本当に楽観的に。アメリカの観客の雰囲気は音楽も凄くよかったので、それを一つずつ楽しむ。競技に集中するというか、その瞬間を全て楽しんだらパフォーマンスがついてきた。そういうメンタリティーが完成したのは最近ですね」
スピード、ボルダリング、リードの3種目の複合で行われる東京五輪。日本代表は男女各2枠ずつあり、世界選手権7位以内の日本人最上位者が内定する。残り1枠は11月の五輪予選(フランス)、来年4月のアジア選手権で選考。有資格者が2人未満、または3人以上の場合は同5月の複合ジャパンカップで決まる。今大会のボルダリングに出場した緒方は、11月以降のチャンスで代表権を狙うことになる。
「ボルダリングとスピードは凄く調子がいいので、あとはリードを強化していければ。五輪代表に選ばれればメダルを狙える位置に確実にいるので、そういう風に組み立てていこうと思います」
感覚的な要素の強いクライミングで存在感を発揮する秀才クライマー。緒方の頭の中では、五輪のメダル獲得への方程式ができあがっている。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)