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世界王者の兄を超える夏…比較の宿命を歓迎する20歳弟の決意「僕は楢崎明智なんだ」

代表権争いで兄弟対決、プライドを捨て明智スタイルで挑む

 無理やり課題通りに登ることで、いつの間にか“常識に沿って登る”ことが頭に刷り込まれた。「どうしても課題を作った人のラインが見えてしまう」と壁を見ても人と同じラインをイメージしてしまい、頭から離れない。いざ大会になると「(ホールドを)飛ばせると思わなくなってしまった」と最大の長所を失った。

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 そうこうしているうちに東京五輪は迫ってくる。世界選手権で代表の1枠目が埋まる可能性高い。「自分のプライドみたいな部分を変えなきゃいけない。いくらでも足を使うし、自分のリーチを生かしていくらでも壊せる課題は壊す」。プライドよりも夢舞台への切符を優先。少しずつ克服し、本来の武器を取り戻していった。

 世界選手権で代表内定しなかった選手は、11月の五輪予選(フランス)、来年4月のアジア選手権で選考。有資格者が2人未満、または3人以上の場合は同5月の複合ジャパンカップで決まる。今大会は、楢崎兄弟を含めた日本勢5人で最初の1枠を争う。

 楢崎家には幼い頃に壊れたきり、テレビがない。五輪がどれほど盛り上がるかさえも「よくわかんないです。YouTubeでボルトさんが走っているのを見るくらい」と笑う。大会の名前に関わらず、大切なのはとにかく一番になることだ。「自分の中でしっかり目標を作ってやっていけばいいのかな」。課題を破壊する“明智スタイル”で挑む夏。ホールドも、そして世界一の兄までも、長い手足で飛び越える。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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