「Jのない県」からJを目指して― ある地方クラブの奮闘記「共に創るクラブの未来」
「巻き込む力」を高めることこそが地方クラブの生き残る道
奈良クラブをほとんど知らなかった5人の学生や院生が、来場者に求められていることを自分たちで考え、経営視点も含めた工夫を重ね、最終的には人気を博す過程を通じ、確かに「一味」になっていくのを感じることとなった。「#Nペ」は終了したが、彼女たちは、今後も様々な立場で奈良クラブに関わってくれることだろう。
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前回のコラムで書いた通り、地方クラブには圧倒的にリソースが足りない。ただし、クラブ外のヒト・モノが「一味」の下に結集し、それぞれが出来る範囲の中でコミットメントを高めてもらえれば、地方からも大きな波を作り出せるのではないかと感じている。現在Jリーグクラブをはじめとするスポーツビジネス界でも、積極的に関わってくれるクラブ外の存在を活用することの意義が議論され始めているが、そういった人を「巻き込む力」を高めることこそが地方クラブの生き残る道だと思う。
もちろん「サポーター任せ」「スポンサー任せ」という批判もあるだろうし、それは受け入れる。スタッフが主体的に動いていくのは大前提とした上で、それでも共にクラブを創っていく一味を増やしていきたい。少しでも興味を持ってくれた方はぜひ試合会場まで足を運んでいただき、「奈良クラブ一味」の雰囲気を身体で感じてもらいたい。
(奈良クラブ・山川 達也 / Tatsuya Yamakawa)