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“勝負師”西野朗、再び国際舞台へ 「ギリギリの感覚はトップでないと味わえない」

「ここで勝てばタイトル獲得。これに勝てば出場権。あのギリギリのゲームに対する感覚は、トップの指導者じゃないと味わえない」――西野朗(タイ代表監督)

タイ代表に就任した西野朗監督【写真:Getty Images】
タイ代表に就任した西野朗監督【写真:Getty Images】

タイ代表監督に就任した西野朗氏 現場への強い拘り「あくまで勝負していきたい」

「ここで勝てばタイトル獲得。これに勝てば出場権。あのギリギリのゲームに対する感覚は、トップの指導者じゃないと味わえない」――西野朗(タイ代表監督)

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 西野朗がタイ代表監督に就任した。今までも三浦俊也(ベトナム)や吉田達磨(シンガポール)など東南アジア諸国等で日本人監督が誕生し、最近では現役選手の本田圭佑が実質的なカンボジア代表監督を務め話題を集めたが、タイは日本とライバルだった歴史を持つという意味でも別格のポテンシャルを秘めていると言っていい。

 一方で西野は、日本サッカー史の中でも岡田武史と並び、最も輝かしい経験を重ねて来た。ユース代表監督を経て、1996年アトランタ大会では28年ぶりに日本を五輪へと導き、本大会でもブラジルを破る「マイアミの奇跡」を演じ、国内でもすべてJ1ばかりで270勝を記録している。

 こうした経歴の持ち主だけに、現場への拘りは強い。

「ここでタイトル獲得、これに勝てば出場権。そういうところに身を置ける瞬間っていいですよね。あのギリギリのゲームに対する感覚……それはトップの指導者じゃないと味わえない」

 数々の大舞台で戦ってきたベテラン監督ならではの言葉だ。

 ガンバ大阪の監督時代に西野は語っている。

「指導歴が浅い頃は、試合の途中でどうして動かす必要があるんだ、と考えることが多かった。悪くなったら、そこで代えればいいじゃないかと。でも特に同じチームを長く見ていると、いろんな予測が出来るようになってくる。今、内容が良くても、苦戦するな、と感じると、やっぱり苦戦をするし、やれると思った時は結果も伴ってくる。だから流れには任せたくない。あくまで勝負していきたい」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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