「サニブラウンが準決勝で9秒台を出す」― 専門家が予測する「Xデー」の理由
“世界最速男”と同組なら可能性高まる? 「速い選手と固まった方がタイムが縮まる」
「ボルト選手と同じ組の方が断然いいと思います。他の日本人選手は別ですが、サニブラウン選手に関しては速い選手と固まった方が、タイムが縮まってしまうのではないかと思います」
そう話した上で、決勝進出に関しては「組にもよりますが、9秒97、98くらいがボーダーラインになると思います」と分析。そうなれば、9秒台とともにファイナルというダブルの日本人初の快挙も近づいてくる。
現在は世界的に人気のあるレナ・レイダーコーチの下、課題だったフォームを改善し、短期間で縮めてきた成長も偉業を後押しする。秋本氏は改めて、サニブラウン・ハキームという選手について、魅力を語った。
「歩幅を広げるより回転数を高める方が時間的に短期間で向上できるという予測があったので、もともとストライドが大きいサニブラウン選手は技術的な観点から9秒台を最初に出すのは彼ではないかなと予測していました。しかし、そんなことも凌駕するサニブラウン選手の人格、スケールの大きさ、年齢的な伸びしろ、そういう点を考えても、今回が“その時”じゃないかと思います」
このように太鼓判を押した秋本氏。果たして、「時間の問題」と言われ続けた9秒台はロンドンの地で、無限の可能性を秘めた18歳によってもたらされるのか。セミファイナルは、絶対に目が離せない。
◇秋本 真吾(あきもと・しんご)
2012年まで400mハードルの陸上選手として活躍。五輪強化指定選手選出。200mハードルアジア最高記録、日本最高記録、学生最高記録保持者。2013年からスプリントコーチとしてプロ野球球団、Jリーグクラブ、アメフト、ラグビーなど多くのスポーツ選手に走り方の指導を展開。地元、福島・大熊町のため被災地支援団体「ARIGATO OKUMA」を立ち上げ、大熊町の子供たちへのスポーツ支援、キャリア支援を行う。2015年にNIKE RUNNING EXPERT / NIKE RUNNING COACHに就任。現在は伊藤友広氏らと「0.01 SPRINT PROJECT」を立ち上げ、ジュニア世代からトップアスリートまで指導を行っている。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer