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競泳ニッポン「新世代」が躍動も…浮き彫りになった男女の“温度差” 女子苦戦の裏に深刻な課題

水泳ニッポン復活へ、新世代が躍動した。パンパシフィック選手権(8月)と愛知・名古屋アジア大会(9月)の代表選手選考を兼ねた競泳の日本選手権が22日まで東京アクアティクスセンターで行われ、28年ロサンゼルス五輪を目指す若手が台頭。日本記録がタイも含めて5個誕生するなど、日本競泳界が活気づいてきた。

男子50メートルバタフライに出場した光永翔音【写真:西村尚己/アフロスポーツ】
男子50メートルバタフライに出場した光永翔音【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

日本選手権

 水泳ニッポン復活へ、新世代が躍動した。パンパシフィック選手権(8月)と愛知・名古屋アジア大会(9月)の代表選手選考を兼ねた競泳の日本選手権が22日まで東京アクアティクスセンターで行われ、28年ロサンゼルス五輪を目指す若手が台頭。日本記録がタイも含めて5個誕生するなど、日本競泳界が活気づいてきた。

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 記録ラッシュは大会初日19日の午前中から始まった。男子50メートルバタフライ予選で20歳の光永翔音が日本タイ記録を出すと、その後は日本記録を更新するタイムや肉薄するタイムが次々と出た。スタンドは湧き、大会は盛り上がった。

 久しぶりに「日本の頂点を決める」大会らしかった。ここ数年は記録が低迷。5個の日本記録(タイも含む)が出たのは東京五輪の代表選考を兼ねた21年度以来4大会ぶりで、5人が記録を出したのは18年度以来7大会ぶりだった。世界ジュニア新記録も4個、高校記録は9種目で延べ10人が更新した。

 今大会のテーマは「新世代」だった。近年、五輪でメダルを量産してきた日本競泳陣だが、24年パリ大会でのメダルはわずか1個。2000年以降最低の成績だった。平泳ぎの北島康介や個人メドレーの萩野公介ら金メダリストが抜けた後、世代交代が進んでいないことも課題だった。

 水泳界の危機感は相当なものだったと思う。取り組んだのは28年ロサンゼルス五輪はもちろん、32年ブリスベン五輪までを目指したジュニア強化。その本気度を表したのが「新世代」のテーマだった。昨年の大会でも活躍した若手はいたが、今回はそれを一気に広げようというものだった。

 大会プログラムの表紙やポスターには「新世代」の大きな文字とともに5人の選手が登場した。17歳の大橋信と小島夢貴、18歳の村佐達也、19歳の成田実生、20歳の松下知之。日本競泳界が期待する「新世代」の選手たちが並んだ。

 パリ五輪男子400メートル個人メドレー銀メダルの松下と昨年の世界選手権男子200メートル自由形で銅メダルの村佐は実績通りに活躍した。17歳の大橋は男子平泳ぎで3冠を獲得し100メートルで日本新を樹立、小島も男子個人メドレー2種目で世界ジュニア新記録を出した。

 他にも昨年男子1500メートル自由形で11年ぶりに日本記録を塗り替えた17歳の今福和志が800メートルで日本新。競泳に専念してから2年という男子バタフライの光永も50と100の2冠で、50では日本タイ記録をマークした。2年後のロス、6年後のブリスベン五輪に向けて「新世代」の活躍が目立った。

 もっとも、記録ラッシュの男子に比べ、女子は寂しかった。日本記録は22歳の梶本一花が800メートル自由形で出した1つだけ。04年に樹立された最古の日本記録を22年ぶりに更新する歴史的な快挙とはいえるが、男子に比べ女子は日本記録更新が少なく、個人種目に限れば23年に鈴木聡美が50メートル平泳ぎで出して以来。日本選手権での女子の日本新は、実に7大会ぶりだった。

 22年前に山田沙知子が出した8分23秒68は当時の世界ランク1位。直後のアテネ五輪で金メダルを獲得した柴田亜衣の記録よりも速かった。ところが、22年間で世界に大きく離され、今は決勝ギリギリのタイム。梶本も「もっともっとタイムを伸ばして、22年間破られないような記録を」と世界を見据えて話していた。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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