サニブラウンは「怠け」を卒業し強くなった 躍進の裏にあった変革とコーチとの信頼
6月30日まで福岡・博多で行われた陸上の日本選手権で、サニブラウン・ハキーム(フロリダ大)が100メートルと200メートルで2冠を達成した。出身地である福岡で、国内に敵がいないことを証明してみせた。100メートルの日本記録保持者として躍進を続ける裏には、所属するフロリダ大のコーチとの信頼関係があった。
米国で「怠け」を卒業したきっかけ、フロリダ大コーチが明かす「変革」の舞台裏
6月30日まで福岡・博多で行われた陸上の日本選手権で、サニブラウン・ハキーム(フロリダ大)が100メートルと200メートルで2冠を達成した。出身地である福岡で、国内に敵がいないことを証明してみせた。100メートルの日本記録保持者として躍進を続ける裏には、所属するフロリダ大のコーチとの信頼関係があった。
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「前は少し怠けるところがあったからね」。フロリダ大で指導するマイク・ホロウェイ・ヘッドコーチは笑みを浮かべながら、驚きの言葉を口にした。競技者としてだけでなく、引退後の進路も考えて高校卒業後に米国留学を決意したサニブラウン。大学ではアスリートとして結果を残すだけでなく、学業でも一定の成績を収めることが要求される。トレーニング方法を含めてすべてが新しいことの連続。大学1年目は環境に戸惑い、練習に身が入らない時期もあったという。
「それが昨年12月頃から目の色が変わった。しっかりとやるべきことをこなせるようになった」(ホロウェイ・ヘッドコーチ)と、練習態度に変化が見られた。昨年5月からしばらく右脚のけがで走れない時期があったが、体幹強化など筋力トレーニングに励んだ。この期間をサニブラウンは「自分自身を見つめ直す時間になった」と振り返る。
フロリダ大陸上部でコンディショニングを担当するデランシー氏は「他のチームメートに負けないハードワーカーになった。新しいことを学ぼうとする姿勢も素晴らしい」と評価。努力の成果は一回り大きくなった身体からも見て取れる。苦しい時期を乗り越えていく中で、徐々に意識も変わっていったのだろう。
サニブラウンに起きた「変革」は、すぐに結果となって現れた。けがからの復帰戦となった1月の室内60メートルで優勝すると、3月の室内60メートル予選で日本記録に並ぶ6秒54をマーク。5月の100メートルでは日本人2人目の9秒台を記録した。さらに6月上旬の全米大学選手権100メートルで9秒97を出して日本記録を更新。シーズン早々から好結果を重ねることで、これまでの取り組みが間違っていなかったことを確認できた。