世界記録保持者は知っている 高木美帆、0.01秒を争う世界の「タイムと順位」の相関
スピードスケートの高木美帆(日体大助手)は2018年、平昌五輪で団体も含め金・銀・銅と3種類のメダルを獲得した。さらに、2018-19年ワールドカップ(W杯)では最終戦となったソルトレイクシティー大会で、女子1500メートルの世界新記録を樹立。スケート選手として、まさに全盛期を迎えようとしている。
今年3月のW杯最終戦・1500メートルで世界新を樹立
スピードスケートの高木美帆(日体大助手)は2018年、平昌五輪で団体も含め金・銀・銅と3種類のメダルを獲得した。さらに、2018-19年ワールドカップ(W杯)では最終戦となったソルトレイクシティー大会で、女子1500メートルの世界新記録を樹立。スケート選手として、まさに全盛期を迎えようとしている。
今年3月、ソルトレイクシティーで打ち立てた記録は圧倒的なものだった。0.01秒を争う舞台で、従来のタイムを1秒02も更新する1分49秒83を記録。それでも高木は「更新率で言えば結構大きな幅だと思うんですけど、長距離だと環境が整えばあり得ると思うんですよね」とサラリと言った。
「ソルトレイクシティーでは、外的要因も結構味方してくれました。スピードスケートには気候や気圧の変化も影響があるし、日程も上手い具合に合ってくれた。だから、大幅更新と言われても『言われてみれば、そうなんですけど……』っていう気持ちの方が大きくて(笑)」
ゴールラインを滑り抜けた瞬間、まず確認したのはタイムではなく、1位でゴールしたことだったという。
「滑っている時は必死だったので、後半の記憶とかあまりないんです。とにかく最後までできるだけスピードを落とさないでいくことだけを考えていた。だから、最初にまず確認したのは、1番でゴールしたこと。1番だったら世界記録が出るだろうというのは感覚で分かっていたので、1番を確認して『あ、世界記録だな』と。その後、落ち着いたところで、ようやくタイムを見たという感じでした」
狙い通りの世界新記録だったという。昨シーズンが始まる前に、今年2月の距離別選手権での優勝と世界新記録という目標を立てた。その中で「世界新記録を樹立できる可能性があるのは、高速リンクと呼ばれる高地が開催地の大会」と睨んで、海抜1320メートルに位置する米国・ソルトレイクシティーに照準を定めると、見事プラン通りに実現してみせた。