世界が乞う名将、井村雅代は何が凄いのか 「なぜ、できない」で終わらない伝える力
水泳の世界選手権(ブダペスト)で大会初日からプールを華やかに彩っているシンクロナイズドスイミング。世界の頂を目指す日本代表「マーメイドジャパン」を率いているのが、言わずとしれた井村雅代ヘッドコーチ(HC)だ。
【短期連載第2回】教え子の元五輪代表・青木愛さんが語る「シンクロの母」の眼力
水泳の世界選手権(ブダペスト)で大会初日からプールを華やかに彩っているシンクロナイズドスイミング。世界の頂を目指す日本代表「マーメイドジャパン」を率いているのが、言わずとしれた井村雅代ヘッドコーチ(HC)だ。
長年、日本シンクロ界を牽引し、世界的な強国に育て上げた。その後に指導した中国代表、イギリス代表でも結果を残し、14年から日本代表コーチに復帰。世界的に評価される「日本シンクロ界の母」は、なぜ、ここまで強いチームを作れるのだろうか。
井村HCの下、08年北京五輪で5位入賞した青木愛氏は恩師の凄みについて、こう語る。
「一言では言い表せませんが、何と言っても指導者としてのオーラがすごいです。そして、選手のちょっとした変化にも必ず気付いて下さいます」
一般的にイメージされるのが、練習中に選手を激しく叱咤するシーンだろう。しかし、実際の指導には厳しさの裏にある細やかさを感じていたという。
「全てが緻密です。できなかったら、できるまでとことん付き合う。なぜできないのか、とことん突き詰める。そして、選手にとっては『確かに』と思うことばかりなので、逃げられない。このように、選手を突き詰め、『やるしかない』という状況にし、とことん付き合う。そのようなサイクルで選手を成長させて下さる印象です」
選手の「なぜ、できないのか」という思いのままで終わらせず、徹底的に向き合う。こうして数々の名選手を生み出し、「シンクロ・ニッポン」を築き上げた。