最強の格闘技は「そりゃ総合ですよね」― UFC帰りの堀口恭司が覗かせるプライド
MMA(総合格闘技)世界一――。なんともロマン溢れる言葉だが、この場所に最も近づき、また今、最も近い日本人かもしれない。RIZIN初代バンタム級王者・堀口恭司(アメリカン・トップチーム)。14日(日本時間15日)に米国の総合格闘技団体ベラトール世界バンタム級タイトルマッチで王者ダリオン・コールドウェル(米国)と再戦する。場所はスポーツの聖地「マディソン・スクエア・ガーデン」(MSG)だ。
日本時間15日にベラトール王者との再戦に臨む堀口に単独インタビュー前編
MMA(総合格闘技)世界一――。なんともロマン溢れる言葉だが、この場所に最も近づき、また今、最も近い日本人かもしれない。RIZIN初代バンタム級王者・堀口恭司(アメリカン・トップチーム)。14日(日本時間15日)に米国の総合格闘技団体ベラトール世界バンタム級タイトルマッチで王者ダリオン・コールドウェル(米国)と再戦する。場所はスポーツの聖地「マディソン・スクエア・ガーデン」(MSG)だ。
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両者は昨年12月31日、「RIZIN.14」でRIZIN初代バンタム級王座をかけて激突。体格差から不利の下馬評もあったが、3ラウンドにギロチンチョークで鮮やかな一本勝ちを決めた。今度は敵地に乗り込み、ベラトールMMAの舞台でのリマッチ。勝てばRIZINとベラトールの2冠王者となるビッグマッチだ。
世界最高峰と名高い「UFC」のリングに上がって7勝1敗と実績を残し、再び日本を主戦場にして3年目。連勝街道をひた走る堀口を、大一番を前に「THE ANSWER」が単独インタビュー。総合に魅せられた男の思いを、前後編に分けてお伝えする。
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最強の格闘技とは何なのか? 堀口にこの問いを投げかけると、間髪入れずにこう断言した。
「そりゃやっぱり総合ですよね」――
携わるものとして強烈なプライドがあり、また積み上げてきた実績から第一人者としての説得力もある。
「総合は全部合わさっていますから。ボクサーのパンチ、キックボクサーなら蹴りが当たっちゃったらそれは終わりますけど、色々な引き出しがあるのは総合格闘家なので、それは一番強いと思ってます。
自分は最初はキックのほうが強いと思っていた。でも総合には寝技があって、なんでもできる。総合にはやっぱり勝てないと。どうせやるからには最強のものをやりたいじゃないですか。例えばですよ、街中で喧嘩して簡単にまけちゃったとか、嫌じゃないですか。じゃあ最強のものを最初からやればいいやと」
キックでもなく、ボクシングでもなく、総合格闘技で“最強”を目指した堀口のもともとの土壌は打撃。5歳の時に父の影響で始めたのが伝統派空手だ。
「嫌でやりたくなかったが、無理やり連れていかれて、兄貴もいたので自分も連れていかれて。無理やり連れていかれて、道場の前で車から蹴落とされて(笑い)。ずっと、嫌だよ、めんどくさいよと思いながらやっていたのですが、試合に出たりするとなんとなく勝っちゃう。いつの間にか空手が人生の一部になってましたね」
当時は将来は自衛隊や、消防士など体を動かして何かを守る仕事を志していたという。中学では一度はプロボクサーも目指したが、高校時代に見た山本“KID”徳郁に憧れ、同氏が主催する総合格闘技のジム「クレイジー・ビー」の門をたたいた。
「自分よりも身体の大きな選手を倒す。特にステップを使ってというところは、自分とすごく似ている。小さいし、デカい選手を倒すにはステップを使わないといけない。このスタイルなら自分もマネできるなと。それで高校を卒業してKIDさんのジムへ行きました」
自身は一刻も早くプロになりたかったが、家族や周囲からは猛反対を受けたという。
「最初は親父も家族もみんな反対。(空手で)大学に行けるんだから行けと。でも自分の中ではそれでは遅い。本当は中学を出てすぐにプロになりたい気持ちが強かった。空手をやっていて一生保障されるならいいですけど、そうじゃない。お金は稼げない。仕事にもならない。プロになって稼ぐには早い方がいいと」