ラグビーW杯24か国制の“罠” 3戦連続中5日、日程明らかに…日本に訪れる「超タフな7日間」の戦略
フランス戦を“捨て試合”にするという選択は…
フィジカルゲームでは手を焼くサモアだが、真っ向勝負で挑んできてくれることは的が絞りやすいために、日本にとっては戦い易い相手でもある。ここ数シーズンの対戦成績も、現在の力関係を明確に物語っている。警戒するポイントがあるとすれば、代表資格取得の規約変更により、サモアに出自があるニュージーランド等の強豪国代表経験者が、W杯で祖国代表にシフトチェンジしてくる可能性が残されていることだろう。エディーも「W杯のメンバーが全く別のチームになるという可能性は頭の中に置きながらサモアを見ていきたい」と指摘する。
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サモア戦のゲームプランを考える上では、昨夏のパシフィックネーションズカップ(PNC)トンガ戦にヒントがある。同じ南太平洋ポリネシアの島国同士でフィジカルを武器にしたラグビースタイルも似通っている。そのトンガに対して、日本はゲームメーカーのSO李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)が、キックを駆使してエリアゲームで優位に立ち、同時に横幅を使ったオープン展開で巨漢揃いの相手を縦横に動かし体力を奪って62-24と圧倒した。この戦い方はサモアだけではなく3戦目で当たるアメリカに対しても十分に威力を発揮するはずだ。サモア、アメリカ相手には、体力を消耗させて終盤に走り勝つ日本の伝統的なスタイルでゲームを優位に進めるだろう。
第2戦の相手フランスは、誰もが認めるプールE最強の相手。日本が未だ未勝利の相手は、サモアをも上回るフィジカリティーに加えて、ボールを手にすれば定石に囚われない創造的かつ奔放なアタックを仕掛けてくる。大会日程発表直後の2月5日には、ヨーロッパ最強を争う「6か国対抗」で、当時世界ランク4位のアイルランドを36-14で倒したが、接点のバトルで優位に立ち、残り20分近くまで相手にトライを許さない力強さを印象づけた。アタック面でも、今や世界トップクラスのフィニッシャーに成長するWTBルイ・ビエル=ビアレを軸に、一気にチャンスを切り開く決定力を披露。従来の主力数人をメンバーから外しながら、攻守に前シーズンより磨きが掛かったラグビーを見せた。
日本代表もフランスとの直近4シーズンでの対戦(3戦全敗)では、局面でのバトルでなんとか対抗出来ても、密集周辺やライン防御を崩されてスコアされるケースを連発させた。昨秋のテストシリーズでは、従来以上にキックを積極的に使う戦術に取り組んできた日本代表だが、フランス戦ではビエル=ビアレら決定力抜群のアウトサイドBKへ安易にボールを渡すのは致命傷に成り兼ねない。そのため、サモア、アメリカ戦以上にポゼッション(ボール保持)を高め、状況を判断しながらエリアゲームをしていく必要があるだろう。そこに、エディーが得意とする相手の意表を突くような戦術が組み込まれれば“定石”が動くような戦いになるのだが。
繰り返しになるが、この2チームとの戦いで、中5日は準備期間として十分とは言い難い。サモア戦へ向けた準備段階で、既にフランス戦用のメンバーでの準備を進める“ダブルチーム”というプランもある。これは実際に日本代表が2007年W杯で導入したもので、優勝候補オーストラリアとの第1戦と、必勝を期したフィジーとの第2戦でメンバーを大きく変えて戦っている。だが、結果としてはオーストラリアに大敗して、フィジーにも敗れて結果を残せなかった。現状での「ふんだん」とは言えない選手層も踏まえれば、フランス戦を“捨て試合”にすることが選手に与える心理的な影響などリスクが大きすぎる。サモア、フランスのゲームを1つのユニットとして、7日間で160分間をベストメンバーで突破するプランが現実的だろう。
勿論、対サモア、対フランスに適したメンバー数人の入れ替えはあるとしても、ベースとなる最強布陣で2試合を戦うイメージで臨むべきだろう。サモアを倒した勢いと、知将エディーの戦略でどこまで現世界ランク4位を慌てさせることが出来るかが見ものになる。パワー勝負を挑んでくるサモアとの80分で負傷離脱をどれだけ回避出来るか、そして痛んだ選手の穴埋めをしっかりと補填出来るかという選手層の充実も課題になる。選手層はエディージャパンが始動した2024年から重要な課題だが、指揮官はW杯へ向けて、こんな現状認識を語っている。
「W杯で戦うには、どのポジションも最低3人スタメンでプレー出来て、我々のゲームプランを80分間戦える選手を揃える必要がある。例えば10番(SO)に関しては、まだそこまで選手層に厚みがない。そこを、これからどうしていくかが重要です」
サモアとの開幕戦からフランス戦の2試合については、最上のシナリオとしては2勝全勝、もしくはランキングと過去の戦績を踏まえてフランスへの1敗で乗り越えられれば上出来だろう。残るアメリカ戦は、実力、実績ではプール“最弱”の相手にしっかりと勝ち切って、決勝トーナメントに進むことが出来るはずだ。
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