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「欺こうとするのは1試合で3、4人」 Jリーグ史に残る名レフェリーの“誤審回避術”

VAR導入が話題のサッカー界…「たった1台のカメラが真実を映し出すことがある」

 昨年末のクラブW杯や先のコンフェデレーションズカップでは、「ビデオ・アシスタントレフェリー制度(VAR)」が導入され、話題になったが、モットラム氏はかつて、こんなことを言っていた。

「テレビ番組では、いろんな角度からのカメラを用意していて、そのうちたった1台のカメラが真実を映し出すことがある。でもレフェリーが前もって、このカメラと同じ角度のポジションを取るのは至難の業だ」

 そう言って、続けた。

「もし選手が本当にレフェリーの目を欺こうとしたら、それを見抜くのは不可能に近い。22人が騙そうとしたら、まず見抜けないだろう。でも幸い、いつもレフェリーを欺こうとしているのは、せいぜい1試合で3、4人だ。大半の選手たちはフェアな判定を望んでいる。だから、その3、4人を早く見つけて気をつければいい」

 もちろん、いつの時代にもミスジャッジはなくならない。しかし同氏は、確実に日本のレフェリーの向上を支えた。

「一般的に最初に来るのは選手の進歩。次が指導者だよ。協会は、まずそちらを育てることに資金を回すからね。レフェリーが一緒に成長できないのは仕方がないことなんだ」

【了】

加部究●文 text by Kiwamu Kabe


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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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