「欺こうとするのは1試合で3、4人」 Jリーグ史に残る名レフェリーの“誤審回避術”
VAR導入が話題のサッカー界…「たった1台のカメラが真実を映し出すことがある」
昨年末のクラブW杯や先のコンフェデレーションズカップでは、「ビデオ・アシスタントレフェリー制度(VAR)」が導入され、話題になったが、モットラム氏はかつて、こんなことを言っていた。
「テレビ番組では、いろんな角度からのカメラを用意していて、そのうちたった1台のカメラが真実を映し出すことがある。でもレフェリーが前もって、このカメラと同じ角度のポジションを取るのは至難の業だ」
そう言って、続けた。
「もし選手が本当にレフェリーの目を欺こうとしたら、それを見抜くのは不可能に近い。22人が騙そうとしたら、まず見抜けないだろう。でも幸い、いつもレフェリーを欺こうとしているのは、せいぜい1試合で3、4人だ。大半の選手たちはフェアな判定を望んでいる。だから、その3、4人を早く見つけて気をつければいい」
もちろん、いつの時代にもミスジャッジはなくならない。しかし同氏は、確実に日本のレフェリーの向上を支えた。
「一般的に最初に来るのは選手の進歩。次が指導者だよ。協会は、まずそちらを育てることに資金を回すからね。レフェリーが一緒に成長できないのは仕方がないことなんだ」
【了】
加部究●文 text by Kiwamu Kabe