“ブラサカ”日本代表は東京でメダル獲得できるのか 南米2強の牙城を崩すために―
ブラインドサッカー(視覚障がい者サッカー/略称ブラサカ)の歴史は浅い。初めて日本代表戦が行われたのが2002年で、パラリンピックは来年地元開催の東京大会が初挑戦となる。参加8カ国で、日本はメダル獲得を目指すが、簡単な道のりではない。
【ブラインドサッカー日本代表コーチの挑戦|最終回】ブラジル、アルゼンチン、中国に勝つための強化策
ブラインドサッカー(視覚障がい者サッカー/略称ブラサカ)の歴史は浅い。
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初めて日本代表戦が行われたのが2002年で、パラリンピックは来年地元開催の東京大会が初挑戦となる。参加8カ国で、日本はメダル獲得を目指すが、簡単な道のりではない。
日本代表で戦術技術を指導する中川英治コーチの見解である。
「ブラジルとアルゼンチンは、Bチームの層も厚く総合力で抜けています。この南米両国に中国を合わせたのが世界のトップ3。ここに勝つには、何か特別な戦術が必要になります。一方で日本は、イングランド、スペイン、イランなどとともにセカンド・グループなので、同等レベルのチームとの勝率を上げていくのも東京五輪まで残り約400日間の課題となります」
世界を俯瞰しても、戦術的な改善と普及が急ピッチで進んでいる。
「5年前の世界選手権で、日本は4人でブロックを形成し、相手を引き込んでカウンターという戦術を採っていました。自陣深い位置でボールを奪っても単独ドリブルでカウンターを仕掛けて、3人は残るというやり方です。世界的にもリオ・パラリンピック(2016年)では分業制が中心でしたが、その後一気にコンパクト化が進み、格段にレベルアップしています。タイ、マレーシア、インド、ラオスなどアジア諸国も障害者への支援が見直され、力をつけてきています」
障害者スポーツの強化には、どうしても悲哀が伴う。
「国際大会に出場するには全盲が条件になります。だから競技力向上だけを考えれば、日本のように医療水準が高いのは有利な条件ではありません。現在日本にも高校生以下のナショナルトレセンがあり、弱視のうちから強化トレーニングをしています。でも彼らが日本代表としてプレーできるのは、視力を失った時なんです。日本代表は強化されても、本人の人生を考えれば最悪の時ですよね」