日本に2度目のラグビーW杯はやって来るのか どうなる2035年招致…求められる大義、ライバルはどこか

ライバル国は? 共催の可能性、2039年大会にも含み
35年大会招致に関しては、スペインがヨーロッパのラテン系諸国との共催を目指しているのに加えて、アルゼンチンを軸とした南米諸国なども関心を見せている。可能性レベルでは95年大会以降開催を実現していないW杯連覇中の南アフリカ、ダークホース的な存在として日本と同じアジア圏内で強い資金力を持つアラブ首長国連邦(UAE)ら中東諸国などの動向が気になるところだ。
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日本協会でも、会見で土田会長が「W杯の1つのグループ(プール)を(海外の)ある都市に持っていくことも出来るかどうか、今話し合っています」と語ったように、単独開催と同時に共同開催も視野に入れている。シンプルに考えれば東アジアを中心とした近隣諸国が対象になるが、時差が少ないニュージーランド、そして裏技として中東との連携など、地域性の枠を超えたアライアンスも可能性を秘めている。
一部のラグビー関係者の中では、日本での開催は35年ではなく39年のほうが現実的だという指摘もある。岩渕専務理事も「今回(の応募は)2035年だけということでスタートしていますが、過去の例からみても話し合いの中でその先の39年との絡みで、これから開催国決定までの間に様々な変化がおそらく出て来るだろうと思うので、あらゆる状況に対応出来るようにしたい」と開催年については含みを持たせている。19年大会の招致レースも、元来は11年の開催で落選した後に15年イングランド、19年日本がセットで確定した経緯もある。
試合会場に目を向ければ、新たなスタジアムを残り9年ないし13年という時間で大量に建設するのは現実的に不可能だろう。前回会場となったスタジアムに加えて19年大会には完成出来なかった現国立競技場を始め、選考外や会場立候補を見送った4万人クラスの収容力を持つスタジアムも複数ある。先に触れたようにインフラ等環境設備面、そして実際にはWRが期待するほど容易ではないものの、企業を中心とした資金力はある程度の競争力は見込めるはずだ。その中で、もし対立候補と競り合う展開になるとしたら、やはり2度目のW杯を日本で開催する理由、つまり強い理念、訴求要素が重要になる。それをノーサイド精神だけで乗り切るのか、さらに日本で開催する意義を上積み出来るかは、今後の重要な戦略ポイントになるだろう。
開催に手を挙げた今年は、日本ラグビー協会設立から100周年になる。“100年の計”は日本国内の内輪のことだとしても、もしニュージーランド協会100周年を記念して1992年に3試合が行われた同国代表vs世界選抜のような、海外へ向けても発信力を持つイベントを開催出来れば、35年招致へ向けても一つのアピール材料を兼ねることになるだろう。協会関係者と話していて興味深かったのは、開催年の35年が、日本の第二次大戦終戦から90年となるために、平和や復興をテーマにしたいという思いだ。政治的な要素も強いが、復興に焦点を当てることでスポーツイベントとしての訴求材料にもなり得るコンセプトでもある。
要は、世界に、さらに具体的に書けばWR上層部に対して、日本で開催するための納得出来るどんなストーリーを提供出来るかだ。堂々打ち出した「ノーサイドの精神」に加えて、さらに説得力、魅力のあるストーリーを上乗せして提示することが出来れば、「一生に一度」と謳った祭典が「二度」実現することにも繋がるだろう。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)
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