日本に2度目のラグビーW杯はやって来るのか どうなる2035年招致…求められる大義、ライバルはどこか
日本ラグビー協会(JRFU)は1月23日、都内で会見を行い、2035年開催予定の男子15人制ワールドカップ(W杯)の招致を正式に発表した。実現すれば2019年以来16年ぶりに日本を舞台に世界の祭典が繰り広げられることになる。協会が掲げる大会のキーワードは「NO SIDE SPIRIT(ノーサイドスピリット)」。日本では長くラグビー界で重用されてきた価値観を掲げて、社会に広がる分断や格差を乗り越えるメッセージとして世界へ訴えていく。まだ手を挙げたばかりで、大会概要も対抗馬も見えてこない9年後の夢舞台は果たして実現するのか。会見に参加した協会首脳の言葉からその可能性や課題を検証する。(文=吉田 宏)

「一生に一度」をもう一度…招致を表明した2035年W杯の可能性と課題の検証
日本ラグビー協会(JRFU)は1月23日、都内で会見を行い、2035年開催予定の男子15人制ワールドカップ(W杯)の招致を正式に発表した。実現すれば2019年以来16年ぶりに日本を舞台に世界の祭典が繰り広げられることになる。協会が掲げる大会のキーワードは「NO SIDE SPIRIT(ノーサイドスピリット)」。日本では長くラグビー界で重用されてきた価値観を掲げて、社会に広がる分断や格差を乗り越えるメッセージとして世界へ訴えていく。まだ手を挙げたばかりで、大会概要も対抗馬も見えてこない9年後の夢舞台は果たして実現するのか。会見に参加した協会首脳の言葉からその可能性や課題を検証する。(文=吉田 宏)
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2度目の祭典は、果たして日本にやって来るのか――。会見で、JRFU土田雅人会長は力強く言い放った。
「2035年のW杯をラグビー界だけではなくスポーツ界にとって、また日本だけではなく世界にとって最高の大会を実現したいと考えています。2019年大会のキャッチコピーは『4年に一度じゃない。一生に一度だ』でした。まさに一生に一度かなと思いましたが、あの大成功により、我々はもう一度呼ぶ、そして世界一になる、そういう思いを決めました。やはり世界一にはこだわっていきたい」
1月9日に統括団体ワールドラグビー(WR)に対して正式に立候補を申請。2週間後に開いた会見だったが、16年ぶりの開催実現と同時に日本代表の世界一まで掲げたことに、鼻息の荒さを感じさせる。16年、つまり4大会ぶりというスパンで世界最高峰のトーナメントを開催するのは、ラグビーではフランス(2007年・23年)だけが実現している。時期尚早と言われても不思議ではないが、それでも2度目の開催を目指す意義について、同会長はこんな思いを語っている。
「なぜジャパンラグビーはW杯を招致し、世界一を目指すのでしょうか。それは、ラグビー競技の普及振興だけのためではありません。日本ラグビーだからこそこの世界に提供出来るメッセージがあると信じているからです。10年後の日本は、そして世界は大きく変わっているでしょう。現実に目を向けると、様々な格差やそれに伴う分断社会が加速し、大きな社会課題になりつつあります。この時代だからこそ、日本ラグビーに根付く精神、お互いを称え合い、リスペクトするノーサイドスピリット、この言葉こそが分断が進むこれからの時代を通して未来に伝えていきたいメッセージです」
この「NO SIDE」というキーワードを聞いた時に、昨秋の日本代表のヨーロッパ遠征での岩渕健輔専務理事とのやり取りを思い出した。
「日本代表でもアフターマッチファンクションを重視していきたい。最近のテストマッチでは、移動や選手のコンディションを優先して実現出来ないこともあるのだが、あらためてこういう伝統をしっかりしていくことも大切にしたい。国内でのテストマッチでも出来る限り行ったが、今回ホスト協会のおかげで実現できているのも有難いこと」
こんな旨の話をしていたが、おそらくは昨年11月の時点で、専務理事個人か協会上層部ではW杯招致のためにノーサイド精神を訴えていくことを考えていたのだろう。そのために、この精神にも通じる試合後の伝統的なチーム同士の交流を重視していたのだろう。
会見で土田会長は、2019年日本大会での日本選手の「お辞儀」が、参加した世界各国の選手にも受け入れられ、昨秋の15人制女子W杯でも称賛されたことに触れ、「ノーサイドスピリットは日本ラグビーの根底を表した言葉だと思っています。この言葉を日本からの発信で社会及び世界の合言葉にしていきたい」と訴える。
試合が終われば敵味方なく互いを称え合い、相手を尊重するノーサイドの精神を日本大会のキーワードに掲げて、世界に訴えていく。グローバルに起きている社会的な問題まで視野に入れた理念としては、それなりに踏み込んだものだ。だが、日本では「ノーサイド精神=ラグビー」のように捉えられるが、世界各国ではこの言葉がそこまで特別なものとは考えられていないという現実もある。その一方で、このキーワードが日本特有のものであり、日本開催でしかその理念が訴えられないものかと考えるとどうだろうか。
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