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ラグビー界に衝撃 W杯まで1年…「王国ニュージーランドHC解任」異例人事のなぜ 後任は前日本代表HCか

ニュージーランドラグビー協会(NZR)は1月15日に、同国代表オールブラックスを率いるスコット・ロバートソン・ヘッドコーチ(HC)の退任を発表。カンタベリー州代表を母体とするクルセイダーズを、HCとして任期の7シーズンに渡りスーパーラグビー優勝に導き、満を持して2024年に代表HCに就任したが、わずか2年で解任に近い形でチームを去ることになった。現在も世界ランキング2位と実績を残す中で、なぜ名将はチームを追われることになったのか。新年を迎えて、開幕まで1年となったワールドカップ(W杯)オーストラリア大会でも優勝候補に目される常勝軍団の異例の人事で、優勝の行方はどうなるのか。退任と同時に過熱する後任人事、そして常勝軍団が孕む強化の難しさを考える。(文=吉田 宏)

スコット・ロバートソン・ヘッドコーチ【写真:ロイター/アフロ】
スコット・ロバートソン・ヘッドコーチ【写真:ロイター/アフロ】

ロバートソンHC退任 常勝軍団が孕む強化の難しさ

 ニュージーランドラグビー協会(NZR)は1月15日に、同国代表オールブラックスを率いるスコット・ロバートソン・ヘッドコーチ(HC)の退任を発表。カンタベリー州代表を母体とするクルセイダーズを、HCとして任期の7シーズンに渡りスーパーラグビー優勝に導き、満を持して2024年に代表HCに就任したが、わずか2年で解任に近い形でチームを去ることになった。現在も世界ランキング2位と実績を残す中で、なぜ名将はチームを追われることになったのか。新年を迎えて、開幕まで1年となったワールドカップ(W杯)オーストラリア大会でも優勝候補に目される常勝軍団の異例の人事で、優勝の行方はどうなるのか。退任と同時に過熱する後任人事、そして常勝軍団が孕む強化の難しさを考える。(文=吉田 宏)

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 世界に衝撃が走った。

 スコット・ロバートソン退任

 2026年1月15日。ラグビー王国ニュージーランド(NZ)のデビッド・カーク会長の声明に、誰もが耳と目を疑った。

「私たちはフィールド内外でのチームの進捗状況を徹底的に検証し、その後スコット(・ロバートソンHC)と今後の方向性について協議しました。そしてNZRとスコットの双方は、彼がヘッドコーチの職を退くことがチームにとって最善であると合意しました」

 指揮を執った2年間でテストマッチ27試合を指揮して20勝7敗。勝率74%は、70%に満たなかった前任のイアン・フォスターを遥かに上回る。世界ランクも南アフリカに次ぐ2位に付けるが、“王国”の上層部は27年W杯までという任期の折り返し地点で指揮権を取り上げた。

 任期中の戦績以上に、グラウンド上でのパフォーマンスで厳しい評価が下されている。プレーの不安定さ、後半開始20分のチームの停滞に加えて、強みのアタックでの苦戦ぶりや世界のトレンドになっているハイボールへの脆弱性、そして防御面のミスなど、指摘された問題点は多岐に渡った。その結果、勝率や世界ランクでは面目を保った一方で、南アフリカに1勝3敗、アルゼンチンに2勝2敗、イングランド、フランスには勝ち越したものの接戦が多いなど、W杯で優勝を争う強豪との試合で往年の圧倒的な強さは見せられていないのがロバートソン体制の2シーズンだった。

 第1回W杯でSH、主将としてオールブラックスの優勝に貢献したカーク会長は、チームを去るロバートソンHCを「選手としてもコーチとしても、チームへの情熱は明らかであり、長年にわたりNZのあらゆるレベルのラグビー界への献身と関与は計り知れません。彼の今後の活躍を祈っています」と称えたが、それでも“切り札”と期待された指揮官が、わずか2シーズンという短期間でポストを追われたのは不協和音が致命傷になった。

 同国大手紙ニュージーランドヘラルドが、昨秋のテストマッチシリーズを終えて、ベテラン選手を中心にコーチ陣、とりわけロバートソンHCと、クルセイダーズ時代からコンビを組むスコット・ハンセン・アシスタントコーチ(AC)への不満が生じていたと報じた。ハンセンは2019年W杯までは日本代表ACも務め、その手腕を評価される指導者だが、選手らの不満に加えて現体制での2年の中でレオン・マクドナルド、ジェイソン・ホランドと手腕のある2人のACが代表チームを去ったことも問題視された。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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