単位不足で「卒業できないとなると…」 ラグビー日本代表、大学生招集で抱える強化整備のジレンマ

「極論ですが、エディーが倒れたらどうするのか…」
TDというマネジメントサイドの「これから」についても、反省も踏まえながらこう課題を語っている。
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「何かあった時に、ちゃんとプランが用意出来ているかが重要になります。私自身としては、今の体制をしっかりと継続して2027年まで持っていければベストだと思っています。そのために、例えば先にお話ししたコーチに関して、次はどうするかというような用意をしていかなければいけない。今回は、私の中では後手を踏んでしまった部分があった。なので、そのような事で選手を取り巻く環境に影響しないようにしていきたい。極論ですが、エディーが倒れたらどうするのか。誰がどうなっても、チームを継承していける準備をしていく必要がある」
実際に2013年にはエディーが脳梗塞の恐れのため一時チームを離れる事態もあったが、マネジメントサイドの仕事としては、人事も含めたピッチ外の変化がチームや選手のパフォーマンスに与えるネガティブな影響を最小限に抑えるための環境作りを進めていくことがミッションになる。
これまでのTDやGMといったポストの顔ぶれを振り返ると、その大半が、代表HCと所属チーム等でコーチ、選手、スタッフとして繋がりがあった人物が担ってきた。永友TDも同じような背景を持つ。厳しい見方をすると、どうしてもHCとの人間関係から“サポーター役”になってしまう傾向は否定できない。プロHCの優先事項は、突き詰めれば自身の実績だという現実は認めた上で、日本ラグビー全体の利益を考えた時には「勝利」だけではないタスクもある。つまり、HCの“仰せの通り”では許されない部分もある。
例えば、このコラムでも触れた若手の強化・育成だ。23年W杯までのような正代表だけの強化に特化すれば、若手育成が不十分になるケースもある。そこを、強化の方向性や人材配置も含めて一個人(HC)の成果だけではなく、短期的、中長期的な視野も含めて日本ラグビーにどう利益還元出来るかを追求するのもマネジメントトップに求められるはずだ。
ヨーロッパ遠征中に永友TDとやり取りする中で、サントリー時代のエディーとの濃密な関係性がある一方で、マネジメントトップとしての客観性を持った視点での話を聞けたことが、今回の単独インタビューを決めた大きな要因でもあった。段階的に近づいてきたW杯への正念場となる残された2年の中で、代表チームの進化と同時に、「W杯」という枠も越えた日本ラグビーにどんな利益を還元出来るのか。TDとしての手腕も期待したい挑戦が続く。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)
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